川島のりかず「母さんが抱いた生首」(1988年8月6日発行/青256)
「明朗活発な少女、有賀マヤは下校途中、殺人を目撃。
逃げるものの、殺人犯に高所から投げ落とされ、頭を強打。
命は助かったものの、首から下は不随、また、話すこともできなくなってしまう。
生きがいをなくし、マヤは徐々に衰弱していく。
追い討ちをかけるように、マヤの父が交通事故死してしまう。
そこに現われたのが、生前の父に世話になっていたという高山勇。
マヤの母親は、娘が全身不随、夫が事故死という不幸が相次いだことにより、心に穴が空いた状態になっており、高山はそこに付け入る。
マヤの母親と高山は急接近するが、実は、高山は、マヤを全身不随にした、あの殺人犯だった。
マヤはどうにかこのことを母親に知らせようとするが、狡猾な高山はマヤを始末しようとする…」
川島のりかず先生のヒバリ・ヒット・コミックスでの最後の作品だと思われます。(注1)
川島のりかず先生の代表作の一つと扱われている作品ですが、個人的に感銘を受けませんでした。
「全身不随の少女の家に潜り込んだ殺人犯が巻き起こすサスペンス」なのかと思いきや、ラストは、タイトル通りに「母さんが生首を抱く」話に突き進み、微妙なハッピーエンドを迎える…のですが、どうも話の焦点がブレまくっておりまして、惜しいという思いが強いのであります。(それを言ったら、ほとんどの作品がそうなのですが…。)
また、こういうことを言っては、興ざめでしょうが、全身不随でどうして車椅子に座れるものかどうか、引っかかるのであります。(注2)
下半身不随でも、臀部に感覚がなければ、ベッドで身体を起こしたままでいるのも大変と聞いたことがあります。
とは言え、始終、ベッドに寝たきりだと、陰惨な話が更に陰惨になるだけですので、小さいことは気にしないことにしましょう。
・注1
激レアな「中学生殺人事件」は「ショッキング・コミックス」(B6版)ですので、ヒバリ・ヒット・コミックスには入っていないことにしております。
・注2
1988年にジョージ・A・ロメロが監督した「モンキー・シャイン」という映画がありました。
うろ覚えですが、介護用の小猿が、全身不随の車椅子の青年の「隠れた願望」を読み取って、殺人を犯すという内容だったと思います。
その主人公も車椅子だったので、固定ができれば、そう不自然ではないのかも…。
平成27年1月20日 ページ作成・執筆