さがみゆき「怪談恋人形」(1988年4月16日発行/黒227)
「ゆき子は、幼い頃、両親を事故で亡くし、父の親友である萩原氏に引き取られる。
萩原氏の長男である純一と本物の兄妹のように育ち、いつしか二人は結ばれるものと決まっていた。
しかし、京都の病院でインターンをしている純一が、休暇で帰省した時から、その幸せに影が差し始める。
純一を心待ちにしていた、ゆき子に対して、純一はどこかよそよそしい。
勉強のためと、土蔵の二階に、大きな荷物を運びこみ、ゆき子は不審に思う。
数日後、純一が留守の間に、京都の置屋の女将が訪ねてくる。
女将は、純一が舞妓と駆け落ちをしたので、その話をつけに来たとのこと。
旅館に来るようにと言付けを残し、女将は退出する。
そして、庭には、純一が置き忘れた買い物袋があり、中から着物や化粧品が出てくる。
このことから、ゆき子は、純一が土蔵に舞妓を隠しているのではないかと疑う。
探ろうとしたところを純一に感づかれ、純一に蔵の中を見せてもらうが、どこにも人間の隠れるスペースはない。
人間らしきものは人体標本で、大きな長持の中には、標本の骸骨が入っていたのだった。
しかし、一度火のついた、ゆき子の嫉妬心は簡単に収まらない。
純一が蔵に舞妓を匿っているという思いは確信に変わり、嫉妬心は憎悪となって燃える。
ゆき子は土蔵に目を光らせるが、やがて、ゆき子の身辺で奇怪なことが起こるようになる…」
ひばり書房黒枠からの再刊。
カバーを外した本体の表紙の絵は、新しく描かれたものなのでしょうか?
2016年1月11日 ページ作成・執筆