古賀新一「恐怖の女とかげ」(1987年11月16日発行/青144)

・「女とかげ」
「高峰麻也は豪邸に住む、資産家の娘。
 父親は上流階級のエリート、母親は才媛であるのに、麻也はあまりに平凡な少女であり、コンプレックスを抱いていた。
 ある日、麻也は、自分を写した写真にアザのようなものが右の眼の周囲に写っていることに気付く。
 写真の顔はアザのために暗く陰湿な顔になっており、麻也は自分の両親が実の両親ではないのではないか、と疑う。
 その後、自動車事故で骨折した麻也は、病床で幼い頃の記憶が次々と蘇えってくるが、全て今の境遇とは関係のないことばかりであった。
 ある日、松葉杖をついて、散歩に出た麻也は、トカゲを瓶に集める、陰気な女性を目にする。
 足の痛みにより気絶した麻也は気が付くと、その女性の家で寝かされていた。
 女性は子供を誘拐されたショックで頭がおかしくなっており、人形を麻也と呼び、あやしていた。
 麻也という少女はもし無事でいれば、主人公の麻也と同じ年齢であり、また、その少女の写真には、右目の回りろにアザがあった。
 麻也は、頭がおかしい女性が自分の本当の母親ではないかと思い当たるのだが…」
 奇妙な作品です。
 スジが通っているような、通ってないような「魔訶魔訶」感覚は、古賀新一先生独自のもの。
 ちなみに、「女とかげ」のタイトルではありますが、「トカゲ女」は出てきません。
 その代わりに、先祖代々のならわしとして、乳が張って痛む時には、トカゲの群れに乳を吸わせております。
 この描写がやけに扇情的な代わりに、ちっともストーリーに絡まず、単にこういうのが好きだっただけ?

・「へび先生」
「学校にある、仙波沼の主と言われる蛇のミイラ。
 小桜ゆかりは、黒川先生に怒られた腹いせに、そのミイラをぶち壊す。
 黒川先生はミイラを修繕しているうちに、蛇のウロコを身に浴び、蛇女と化してしまう。
 黒川先生は、その復讐のため、ゆかりをあの手この手で襲う…」
 古賀新一先生の典型的な「蛇」もの…としか書きようがありません。

・「ぬりこめられた死体」
「人気スター、香月美佐。
 その美しい顔は整形で得たものであった。
 ある時、美佐は自動車事故を起こし、衝撃で顔がひん曲がってしまう。
 この歪んだ顔を、美佐はお手伝いの江梨子に見られたと思い込み、彼女を首にする。
 それだけでは安心できず、思い余った美佐は、ある夜、江梨子を車で轢殺。(このシーン、雨が降っているのに、次のページでやんでます。)
 そして、その死体を工事現場にてコンクリート詰めにする。
 しかし、後日、殺したはずの江梨子から手紙が来る…」
 味のある、不思議な短編。
 鏡の前で、衝撃で歪んだ顔を、両手で力任せにこねくり回して直そうとする描写がなかなかにシュ〜ル。

・「のろいの笑い面」
「ある村の盆踊りでは、村人達はお面をかぶって踊るのが習わしであった。
 病気の祖母と二人暮らしの理沙は、一人で行っても、つまらない。
 それでも、祖母を心配させたくないために、盆踊りに出向く途中、両親のいない少年と出会う。
 同じく家族のない者同士、二人だけで楽しく踊って過ごす。
 踊り疲れて、二人のお面が取れてしまうが、少年の素顔は…」
 ひばり書房黒枠単行本の「死人島にさく花は…」からの再録であります。

 ひばり書房黒枠単行本に、短編「のろいの笑い面」を加えて、再刊したものです。

2017年2月15日 ページ作成・執筆

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