浜慎二「SF恐怖入門」(1978年3月31日発行/HC70)

・「ひとり静か」
「宝石強盗を働いた二人組。
 数億はするという宝石を持ちながら、殺人を犯してしまったために、金に換えることもできない。
 その時、ひらめいたのが、人口冬眠を研究している老学者のことであった。
 老学者は近い将来、核戦争が起きるから、日本国民は冬眠すべきと主張して、キチガイ扱いされていたのであった。
 二人組は、老学者を脅して、三人一緒に人工冬眠に入るのだが…」
「怪談・54」(貸本/つばめ出版)からの再録。

・「幸せな男」
「目的を達成するためなら、手段を選ばない産業スパイ。
 不可能はないと豪語する彼だったが、さすがの彼も手にあまる仕事があった。
 初めての失敗でプライドを傷つけられた彼の前に、彼の助手が小男とアラビア風の外国人を連れてくる。
 小男が言うには、この外国人は人の姿を消す術をかけることができるのであった。
 物は試しと、産業スパイは術をかけてもらうのだが…」
 「オール怪談・31」(貸本/ひばり書房)からの再録。

・「ああ!人間」
「肉体労働やスポーツで、人造人間が幅をきかせる近未来。
 人造人間のオーナーである金平は、自分の人造人間をボクシングのチャンピオンにすることに必死。
 そこで、闇医者に人間の脳を人造人間ボクサーに移植する。
 効果はてき面、連戦連勝となるが…」
「怪談・86」(貸本/つばめ出版)からの再録。

・「シンペイ(身辺)雑話」
 目次には載っておりますが、「存在」しません。
 黒枠の「SF怪奇入門」の目次ページをそのまま使っているためで、次の「ああ同窓会」からページ数が二ページほど、ずれてます。
 このテキト〜さ…ひばり書房らしい話であります。

・浜慎二「ああ同窓会」
「古道具屋できれいな小箱を見つけた青年。
 その小箱の中には、爪楊枝のような、一本の木切れが入っていた。
 がっかりして、木切れを放り出す青年だが、その木切れが写真の人物の頭に当たる。
 その翌日、その人物が頭に怪我をしたことを知る…」
 元ネタは、A・J・アラン「怪毛」でしょう。
 設定はそっくりですが、結末はかなりアレンジしております。
「怪談・73」(貸本/つばめ出版)からの再録。

・浜慎二「秋も終りの日に…」
「両親を亡くし、親戚に学資を出してもらっている貧乏学生。
 とある夜、彼は見知らぬ老人に呼び止められる。
 喫茶店で話を聞くと、どうも老人は大金持ち。しかも、青年を相続人にしたいという。
 大金を目の前にして、有頂天の青年に、老人は条件として、青年の「未来」と交換を持ちかける…」
 元ネタは、怪談の古典的名作、H・G・ウェルズ「故エルヴシャム氏の話」。(傑作です。ご一読をお勧めします。)
 この短編をもとにして、水木しげる先生も、藤子・F・不二雄先生も描いておりました。(調べると、もっとあるかも。)
 浜慎二先生は、基本的な内容はほぼ一緒ですが、オチを少し捻っております。
「怪談・71」(貸本/つばめ出版)からの再録。

・「顔」
「映画スターを夢見ながら、一向に芽の出ない無名俳優、赤井哲也。
 せめてスターらしい格好をしようと、長年の友人、平田のもとを訪れる。
 平田は医学者の卵で、仕事の邪魔だと、そっけなく断る。
 逆上した新井哲也は平田を絞殺、しかし、物取りの犯行ということになる。
 その後、新井哲也はプロデューサーに見出され、赤木哲也と改名、スターへの道を邁進する。
 が、自動車事故を起こし、顔に現代医学では手に負えないほどの大怪我を負う。
 プロデューサー達が頭を抱える中、顔を元通りに治せると言う医師が現れる…」

・「白骨の使者」
「木枯らしの吹く深夜。
 古賀葬儀社の玄関のブザーを押す者がいる。
 主人が応対に出ると、帽子を目深にかぶった、トレンチコートの男性が立っていた。
 男性は主人に、できるだけ立派な棺桶を十個、注文する。
 訝る主人に向かって、男性はそのうちの一個は自分のものだと言い、現金で前払いにして、二日後に取りに来る、男性は立ち去る。
 男性の向かう先は、ずぶ濡れの女のいる川岸、泥だらけの青年のいる工事現場…
 そして、二日後の夜…」
 浜慎二先生のマンガは「ちょっと怖くておもしろい」ところが身上なのでありますが、この作品はかなりおどろおどろしい内容です。
 読んだチビっ子達には、かなり怖かったのではないでしょうか?
 「怪談スリラー」(ひばり書房黒枠)からの再録。

 ひばり書房黒枠の浜慎二「SF怪奇入門」とほぼ同内容ですが、「白骨の死者」が付け加えられております。。

2016年3月22日 ページ作成・執筆
2017年10月18日 加筆訂正

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