さがみゆき「誓いのテレパシー」(1975年10月31日発行/ひばりコミックス)
さがみゆき「恐怖のテレパシー」(1985年3月16日発行/青8)

「ある田舎の村を訪ねる鶴田五郎と馬場糸子。
 彼らは、実家で療養している中西加代子に会うために、山奥の村を訪れた。
 というのも、彼らは二人とも、前日に、不思議な体験をしたからであった。
 午前二時、彼らの部屋に、実家にいるはずの中西加代子が姿を見せる。
 加代子は現れたのと同じく、突然に姿を消し、窓の外には人魂が流れていったのであった。
 彼らは加代子に呼ばれていると感じ、彼らは加代子の実家に向かうが、道中、加代子が彼らを迎えに来ていた。
 しかし、加代子は彼らに対して、口を開かず、無言で先に進んでいく。
 仕方なしに加代子に付いて行くと、加代子はある家の玄関先で姿を消してしまう。
 その家はまさしく中西加代子の実家であったが、その時、加代子は床に臥せていた。
 五郎と糸子は病床の加代子を見舞うが、加代子には明らかに死相が出ていた。
 加代子は、夢の中で五郎や糸子に会ったと話す。そして、さっき、ウトウトしていた時に、二人を迎えにいった夢を見たとも…。
 あまりに不気味な話に、寝床で話し合う二人のもとに、加代子が現れる。
 彼女は、自分の死期が近いことを悟り、死後の世界から霊界通信をするつもりだと話す。
 そして、その晩、加代子は逝去。
 これも何かの縁と五郎と糸子は初七日が終わるまで、滞在することとなる。
 葬儀が終わり、加代子の死体は埋葬されることになるが、突如、糸子は半狂乱になって死体を埋めないよう懇願する。
 が、しばらく経つと、糸子は平静を取り戻し、先程のことは何も覚えていなかった。
 その時は糸子が親友の死で取り乱したとされたものの、その夜、糸子は、何者かに憑りつかれたように、加代子の墓を暴こうとする。
 その際に糸子は墓場で怪我をして、家で休むことになるが、皆の目の前で、糸子の口から魂が抜け出て、どこかへと飛び去って行く。
 そして、気がついた時、糸子は自分が死の国にいることを知るのだった…」

 当時のオカルト・ブームに便乗して描かれた作品でありましょう。
 ただし、つのだじろう先生のように、客観的な「事実」(今となっては、「?」なものもありますが…)をベースにしようとする態度とは違い、さがみゆき先生の「想像力」をベースに描かれております。
 悪く言うと、テキト〜ですが、個人的には、まあ、おおらかでいいと思います。
 さがみゆき先生によると、人間は身体が完全に滅びてから、「本当の死」を迎えることができるとのこと。
 そして、「本当の死」とは「無になること」なんだそうです。
 そのため、土葬をされた人間は、身体は死んでいるのに、意識は生きていて、その間、自分の潜在意識に苦しめ続けられると、おどろおどろしい絵を用いて、力説しております。
 と言ってるそばで、火葬にする際に、「天国」に行くと登場人物が語っているので、それって矛盾のような気が…。
 まあ、それが真実かどうか、死んでみりゃわかることです。
 霊感なんてからきし持ち合わせていない私ですが、ただ一つ、確からしいと思うのは、「地獄」ってところがそんなに甘くはないだろう、ということだけなのです。

2016年1月29・31日 ページ作成・執筆

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