川島のりかず「血ぬられた処刑の島」(1988年6月6日発行/青229)

「近未来の日本。超管理社会。
 ある日、普通の家庭の普通の少女、花林(かりん)の額に星型のアザができる。
 額にできる星型のアザは、原因不明かつ致死性の病気の徴(しるし)であり、アザができた者は強制的に処刑されることに法律で決められていた。
 家族は花林を警察に渡すに忍びず、離れに監禁する。
 が、密告により、秘密警察に急襲され、花林は捕まるものの、脱走。
 死刑執行人に追われるうちに、花林は同じく額に星型のアザを持つサトルと知り合い、二人で額のアザの謎を追う。
 この額のアザに関する、世にも恐ろしい秘密とは…?」

 近未来を舞台にしたアンチ・ユートピアSFの入ったサスペンス…
…なのですが、「何か違う…」と違和感が炸裂する要素が盛り沢山です。
 主人公を追う死刑執行人というのが、牛の仮面に大きなマント、そして、手にはトゲトゲのついた鉄球に棒がついた凶器という、牛魔王ちっくな格好。これが正規の制服だとしたら、凄いセンスです。
 また、処刑の島では、この牛魔王達が受刑者を縄で逆さ吊りにして、斧で斬首という、とても近未来とは思えない前時代的な方法で処刑しております。(斧を横にフル・スイングしただけで、首って切断できるものなんでしょうか? 更に、垂れ下がった腕を傷つけずに、正確に首だけ切断しております。職人技といってよいでしょう。)
 しかも、死体は火葬も埋葬もせず、烏の餌にするという徹底振り。機械も燃料も使わず、全て人力や自然でまかなうのは、やはりエコを心がけているから?
 この悪趣味極まる「処刑の島」描写で、突っ込みどころ満載のストーリーも許せてしまいます。
 最後に、近未来になってもやはり薄汚い場末のスナック街に乾杯!!(でも、盗聴器の仕掛けられたゴキブリには御用心。)

平成27年1月2日 ページ作成・執筆

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