沼田清・K元美津・山上たつひこ・関一彦「これがSFだ!」
(240円/1967年4月25日発行)

 収録作品

・沼田清「崩壊前夜」(1967年2月15日完成)
「48時間後に人類が核戦争で滅びることを知った詩人の青年。
 彼はこのことを大学教授や総理大臣に伝えるが、誰も信じてくれず、牢屋に入れられる。
 しかし、謎の力により、牢屋から脱出した彼は、迷子の少女と出会う。
 すると、彼の脳裏に、少女と母親が一週間後に抱き合うビジョンが浮かび、彼は少女が人類を破滅から救う鍵だと考える。
 彼と少女は、兵隊に連れ去られた、少女の母親を追い、A国へと向かう。
 少女の母親は、軍事基地の地下にいるようなのだが…。
 少女と母親の正体は…?」

・K・元美津「10年目」
「高利貸しに追われる青年。
 彼は、おじの研究所に逃げ込み、タイムマシンで十年後の未来へ飛ぶ。
 十年後、彼は出版社の社長として成功していた。
 貧乏暮らしからおさらばと喜ぶ彼の前に…」

・山上たつひこ「大いなる文明」
「ハイキングに出かけた父子が発見した遺跡。  それで、彼ら以前にこの星を支配していた、フロッキー族が遺した古文書を手に入れる。
 「侵略記」と題された古文書には、フロッキー族が、この星の先住民族を支配する過程が記されていた…」
 唐沢俊一氏・編「カルトホラー漫画秘宝館 かえるの巻」(ネスコ/1996年4月9日発行)にて、一部のセリフを訂正して、復刻されております。

・関一彦「21世紀小史@ 夢売ります」
「近未来。
 人が見る夢を創作する「夢想家」という職業があり、人々はその夢を見ることに熱中していた。
 夢想家の関は、自身の作る夢が大衆を骨抜きにして、革命から遠ざかっていることに苦悩する。
 この社会は、ブルジョアとプロレタリアートの二極に別れ、贅沢三昧のブルジョアとは対照的に、地下に住むプロレタリアートは貧困と食糧難に喘いでいた。
 あるパーティ会場で、関の頭に、何者かがテレパシーで、革命の夢を作るよう、囁きかける。
 関を促したのは、謎の男、オーム。
 関の作った夢は、人々に階級意識を呼び覚まし、社会に混乱を起こす…」
 関一彦先生と言えば、未完のSF大作「オーム伝」(未読)。
 この作品はその外伝にあたるものなのではないでしょうか?
 夢を創作するストーリーは海外SFが元ネタだと思いますが、作品名を思い出せません…。

 表紙に「ゲテモノ怪獣や、ポンコツ・ロボットなんかくそ喰え!!本格的S・F特集」と勇ましく書かれているように、日の丸文庫に属していた漫画家さん達が果敢に「SF」に挑んだ作品集です。
 でも、正直な所、今現在読んで、面白いのは、山上たつひこ先生の「大いなる文明」だけかも…。
 SFに限らず、短編は「アイデア」と「語り口」が全てだと私は考えております。

2019年5月28・29日 執筆・ページ作成

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