まつざきあけみ「夏休みはもうこない」(1998年9月6日第1刷発行)
収録作品
・「夏休みはもうこない」(1996年「恐怖まんが666」8月号増刊掲載)
「ある中学校の仲良し六人組。
リーダー格の正己。
ちょっとツッパリの徹。
秀才の等。
明るく、優しい美有。
勝気なやよい。
おとなしい亜子。
皆、性格は違うが、お互いにない部分を補って助け合っているせいか、妙に気が合う。
ある時、羽柴誠という男子生徒が、彼らが仲違いするよう、ありもしないことを彼らに吹き込んでいたことが判明する。
彼は、二か月前に転校してきたが、誰とも打ち解けようとしなかった。
噂によると、彼はゲームオタクで、ソフトを開発して、結構稼いでいるらしい。
徹が彼を問い詰めると、彼は、仲の良い六人組が羨ましかったと話す。
そこで、正己は、彼を夏休みの旅行に誘う。
彼らは、亜子のおじさんに海の別荘に招待されていた。
旅行初日、海に行く前に、誠がゲームソフトを試してくれと頼む。
だが、それは昔の「インベーダーゲーム」のようで、ちっとも面白くない。
彼らはゲームをやめ、海へと向かう。
すると、海辺には、無人のブリッグ船が漂着していた。
彼らは船に乗り込んでみるのだが…」
・「サンタが街にやってくる」(1997年「恐怖まんが666」1月号増刊掲載)
「クリスマス間近。
小学校六年生のあるクラスの生徒が次々とサンタクロースの幻を視る。
更に、それ以来、有名中学校を目指して、ガリ勉していた彼らは、以前、夢中になっていたことへの興味を取り戻していく。
子供達の変化を目にして、彼らの母親は困惑する。
進学重視の大西先生の前任は、子供の遊びを大切にする横川という先生であったが、彼は万引き犯として首になっていた。
母親達は、横川先生が復讐のため、サンタクロースの格好をして、子供達の前に現れていると考えるのだが…」
・「銀の森・金の城」(1997年「恐怖まんが666」8月号増刊掲載)
「地方の町にある山にはレジャーランドの計画が持ち上がっていた。
その山には奇妙な噂が幾つかあり、まず一つは「白髪鬼」の噂で、その昔、白髪鬼というあだ名の天才科学者が家族と共に山に入り、消息を絶ったという。
彼は死んだ後、化け物になったと言われ、その目撃者もいた。
もう一つは「金の池」で、その池の底には黄金が敷き詰められているという。
中学二年の真鈴達は、夏休み、金の池を探しに森に入る。
ところが、森の中で迷ってしまい、更に、何十人もの死体があるブービートラップ(落とし穴の底に竹串)を目にする。
皆、パニックに陥りそうな中、十四年前にこの森で拾われた涼という少年だけは冷静であった。
森の奥から、何かが彼を呼んでいるようなのだが…。
この森に秘められているものとは…?」
・「トモダッチ」(1997年「恐怖まんが666」9月号増刊掲載)
「皆から無視されていると感じ、孤立している乃湖(のこ)。
彼女が、決して裏切らない「あたしだけの親友」を望んだ時、里衣(りい)という少女が突然、現れる。
里衣は乃湖が呼んだから来たと言い、彼女のことなら何から何まで知っていて、本当に親友みたい。
だが、学校で、乃湖は新しい友人ができ、交友関係が広がっていく。
それでも、里衣は乃湖を独占しようとして、他の子達と付き合うのを許そうとしない。
乃湖は里衣が徐々にうとましくなっていき…」
「サンタが街にやってくる」は隠れた傑作です。
豪快すぎるラストにはただただアゼン…です。
2021年8月2日 ページ作成・執筆