かぁなっき・原作/大家・漫画「禍話 SNSで伝播する令和怪談」
(2023年9月4日初版発行)

・「禍話とは?」

・「アイスの森」
「ヤバいと噂のある『アイスの森』。
 深夜、大学生五人がそこを訪れる。
 何の変哲もない森のようだが、よくよく見ると、草むらの中にアイスの棒が幾つも差し込まれている。
 アイスの棒には動物やペットの名前らしきものが書きこまれていた。
 ペットの墓場かと思いきや、文字は同一人物の手によるものらしい。
 手掛かりを求めて、もっと奥に進むと…」

・「模型上の死」
「夏休み、四人の女子高生が隣町の廃ビルで肝試しを計画する。
 そのビルは一等地にあるのに、店舗が入る気配もなく、また、取り壊されることもない。
 決行の日の早朝、そのうちの一人は父親に起こされる。
 父親は彼女が隣町の廃ビルに行くことを知っており、絶対に行かないよう言う。
 父親によると、午前の三時か四時頃にふと目が覚めたという。
 横を見ると、ベッドのすぐそばにビルの模型のようなものが立っており…」

・「で、どうする?」
「米田葉月は女子大生。
 彼女は同じサークルの灯里に何かと世話を焼いてもらっていた。
 ある晩、彼女と灯里はサークルの刈谷先輩の卒コンに参加する。
 この刈谷は無神経かつパワハラ気質の男で、アルコールの苦手な葉月に嫌味を言う。
 すると、灯里が葉月の分まで飲み、結局、それが原因で彼女は死んでしまう。
 しかし、サークルの連中の証言により、彼女の死は自分で飲み過ぎたことによる事故死と処理される。
 葉月は灯里の死に責任を感じ、大学を辞め、引きこもりに近い生活を送る。
 夏のある日、彼女の部屋を灯里が訪ねてくるのだが…」

・「赤い女のビラ」
「マンションの五階に住む青年。
 彼の住む棟のポストに毎日、ヘンなビラが入れられる。
 それは「赤い女に気をつけてください」と注意喚起するもので、赤い女は自分を殺した交際相手を捜しているのだという。
 貼り紙をしてチラシ投函を禁止しても効果はなく、次第に忙しい日々の中でこのビラを気にしなくなる。
 ある夜、彼が自分の部屋に戻ってくると…」

・「九死の夜」
「サラリーマンの鈴木裕和は出張の夜、仕事仲間と飲む。
 店を出たのは夜の十二時で、ホテルに帰ろうとした時、尿意に襲われる。
 トイレを探していると、まだ灯りのついているビルがあり、入ってみる。
 お掃除おばちゃんにトイレは地下にあると教えられ、彼は地下に降りる。
 すると、フード付きのヤッケを着た男が壁を向いて立っていた。
 男は一階にトイレがあると彼に言うのだが…」

・「9人いるぅ…!」
「笠宮台自然少年の家に小学生が宿泊する。
 ある部屋に女子が八人で、先生の点呼の後、消灯となる。
 夜中、一人の女子が目を覚ます。
 先生ではない女性が何度も部屋を覗いては、うふうふと笑いながら、「9人いる」と呟いている。
 女子は先生を呼ぼうと起きるが、その時、床に見知らぬ子供が仰向けに寝ていることに気付き…」

・「燃やすバイト」
「ある男子大学生が友人から『山奥で家財道具を燃やすバイト』を紹介される。
 これは非常に簡単な上にバイト代も良く、やることは車が来たら知らせる見張りであった。
 ある夜、彼らはそのバイトに参加する。
 バイトマネージャーの男性は眼鏡はかけているが、カタギではなさそうであった。
 家財は燃やす順番があり、完全に燃え切ってから、次の家財道具に取りかからねばならない。
 あまり激しく燃やすと、通報される恐れがあり、時間が迫ってくるのだが…」

・「マスク大家族」
「青年は六畳一間のアパート暮らし。
 彼の隣に六人家族(祖父母・両親・子供二人)が住んでいたが、彼らは皆、マスクを常時着用していた。
 花粉症かとも思ったが、マスクはボロボロで汚れており、替えているようには見えない。
 また、その家族は喋っても、明瞭な発音ができず、歯がないのでは?と訝る。
 雨の日、そこの母親と子供が引越しする旨、彼に知らせに来るのだが…」

・「扇風機の家」
「大学生の青年が友人から親戚の家に来るよう誘われる。
 友人は不動産をやっている親戚から夏の間、家の管理を任されていた。
 その家はまさしく豪邸で、生活費もかなりの額を渡されていた。
 青年は夏をここで遊んで過ごそうと張り切るが、ただ一つだけ、やらなければならないことがあった。
 夜の十一時に奥の和室の扇風機をつけ、朝七時に扇風機を切るまで絶対に部屋に入ってはならない。
 また、扇風機の前には小さな人形がたくさんあり、扇風機をつける前には全て起こしておかなければならなかった。
 それだけのことであったが、徐々に奥の和室が気になり始め…」

・「線香の母」
「両親が仕事で留守のため、圭祐は兄の友人である頼人の家に泊まることとなる。
 知らない人ばかりの家でくつろげるわけもなく、夜もなかなか寝付けない。
 すると、頼人が突然、母親について話し始める。
 彼の母親は彼が幼稚園の時に死んでしまったという。
 でも、いまだ隣の母の部屋に母親がいるような気がすると話すのだが…」

・「夜の行列」
「若いOLは仕事のせいで帰りが遅くなる。
 考え事をしているうちにコンビニに入ってしまうが、そのガラス窓から向かいの道路で人が行列をつくっているのを目にする。
 こんな遅くに行列があることも奇妙だが、行列の先は袋小路のはずであった。
 訝りながら見ていると、通りがかったカップルが吸い込まれるように行列の列に加わる。
 彼女は不穏なものを感じ、家に帰りたいと思うが、もしも、外に出て行列に並んだら、取り返しのつかないことになりそうな気がする。
 その時、道路を車が通りがかり…」

 「禍話」は「FEAR飯」(語り手の「かぁなっき」と聞き手の「加藤よしき」の二人で結成)が配信する怪談チャンネルだそうです。(注1)
 そこで配信された怪談を大家という兼業漫画家さんがコミカライズをしたのがこの単行本ですが、出来はなかなか良いと思います。
 個人的には、「で、どうする?」「燃やすバイト」「夜の行列」が好みで、中でも「で、どうする?」はかなり怖いです。
 この作品に出てくる幽霊は事件から何年も経った頃に突然、現れ、柔和な笑みをたたえながらも、落とし前はきっちりつけさせます。
 絶対に逃げられそうにないところが洒落にならない…。

・注1
 ネットの配信に関しましては、ほとんど利用したことがないので、詳しいことはわかりません。(禍話も聴いたことないです…。)
 どのぐらい無知かと言いますと、この文章を書くにあたって、「ツイキャス」をグーグルで調べるレベルです。
 というわけで、深い話ができず、紹介は簡単に済ませております。すんません…。

2025年6月23・24日 ページ作成・執筆

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