犬木加奈子「新・不思議のたたりちゃん@」(1999年7月1日初版/左は前期カバー、右は後期カバー)

 収録作品

・「新・不思議のたたりちゃん」(1999年「ザ・ホラー」2月号〜4月号)
「プロローグ 1999年 神の助け、お告げがやって来る!!」
 三年に上がり、クラスが変わっても、相変わらず、クラスで孤立している神野多々里。
 唯一の心の拠り所は、親友のよっちゃんで、彼女を信じているからこそ、一人も我慢できる。
 しかし、別のクラスになった、よっちゃんには新しい友人ができ、いじめられっ子の多々里との交際が重荷となっていく。
 多々里は自分のせいでよっちゃんに友達ができにくいことを知り、彼女のもとから去る決意をする。
 だが、泣かずにいられないところをクラスの連中にからかわれ、逆上した多々里は、祟りを発動。
 その結果、世の中の全ての人間が消えてしまう。
 狼狽する多々里の前に、多々里の祖父母、神野太助とお黄楊が現れる…。
「第二話 イジメの蟲は春に湧く」
 もう一度、中学校入学の時からやり直すことになった多々里。
 彼女の使命は、子供達の心に巣食う「スキ魔」と戦うことで、祖父母のくれた日記帳には「スキ魔」と戦う道具が詰まっていた。
 とは言え、新しいクラスでも、やっぱり、多々里はクラスでは浮きまくり。
 そんな多々里に、クラスの「よい子」は反感を抱き、苛立ちを募らせる。
 そんな心の隙間に「スキ魔妖怪・無視ムシ」が入り込み、大繁殖、クラスメート達に寄生していく…。
「第三話 コウモリ傘にふる涙……」
 仲間外れにされるのがいやで、あっちのグループ、こっちのグループと渡り歩く小森。
 だが、仲良しグループの輪に入るのは容易でない。
 そこで、彼女は人の悪口を言って、あちらこちらで友情に亀裂を入れていく。
 多々里は、小森がスキ魔妖怪に憑りつかれたことに気付き、警告するのだが…。
「第四話 ハリセンボン」
 満福笑(まんぷく・えみ)は、いつも絶やさぬ笑顔とその風格で、クラスの人気者。
 ただ、あまりに正直過ぎて、言葉に棘(トゲ)があるのが、欠点。
 ここのところ、言葉のトゲが激しすぎて、満福笑はクラスメート達に敬遠されていく。
 それは「スキ魔妖怪・ハリセンボン」の仕業であった…。
「第五話 ねガエル 裏切草」
 多々里以外に「スキ魔」の存在に気付いている、乃呂井翔(のろい・かける)。
 彼は道家に財布の盗んだ容疑をかけられた上、更に、味方と思っていた裏霧にはめられていたことを知り、怒り心頭。
 翔は多々里の道具を使って、彼らに仕返ししようとするが、邪まな心では触れることすらできない。
 そこで、彼は自慢の「スキ魔妖怪辞典」で「スキ魔妖怪」を調べ、多々里が退治の担当となる。
 どうやら、裏霧は「スキ魔妖怪・裏切草」に憑りつかれているようなのだが…。
「第六話 悪臭 ドクサイ者!」
 教室に漂う異様な臭い。
 気付いているのは多々里だけであったが、その臭いは日ごとに強くなっていく。
 多々里は、クラスメートの岩子(がんこ)が発生源だと突き止めるが、それがもとで岩子に目を付けられる。
 岩子は、クラスメートを率いて、多々里に様々ないじめを展開。
 いじめがエスカレートする中、多々里は岩子に「スキ魔妖怪・ドクサイ者」が憑りついていることを知る…。

・「不思議の不気田くん」(1999年「ザ・ホラー」2月号)
 多々里のクラスの転入生は、不気田という少年であった。
 多々里の横の席になった不気田は、多々里を、捜し求めていた「永遠の恋人」だと確信する。
 ひどく積極的な不気田に戸惑い、多々里は不気田を学校案内に連れ出すが、二人の後をつける、謎の影があった…。

 一般的にはあまり知られておりませんが、「ザ・ホラー」(角川書店)で連載されていた「新・不思議のたたりちゃん」は非常に良い作品です。
 ノリは、ぶっちゃけ、「ゲゲゲの鬼太郎」(あ〜あ、言っちゃった…)でして、オリジナルの「たたりちゃん」とは多少毛色が変わっております。
 ですが、所々、心に響く言葉やシーンがあって、いろいろと考えさせられる内容です。
 個人的には、「第四話 ハリセンボン」に出てくる「仲良しこよしだけが友情がない」というシーンが最も印象に残ってて、いまだにふと心に浮かんできたりします。
 単行本はなかなか入手困難(特に二巻)ですが、今現在、電子書籍で手軽に読めるようなので、興味を持たれた方には是非目にしていただきたいと思います。
 ちなみに、「不思議の不気田くん」はギャグ漫画で、乃呂井翔のキャラが誕生した理由が明かされております。(必読!!)
 あと、後記カバーの袖写真の犬木先生が「オシャレ」で「アーバン」な感じになっているのが、個人的に気になってます。(ホラーの女王の写真に飽きたのでしょうか?)

2018年1月2日 ページ作成・執筆

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