犬木加奈子「どこにでもあるちょっと怖い話」(1998年7月10日発行)

 収録作品

・「どこにでもあるちょっと怖い話」(1991年「ホラーハウス」5月号)
「花姿かたる、熊子、弱井は親友同士。
 三人はバレー部に憧れて、入部するものの、そこは上級生には絶対服従の体育会系であった。
 退部は認められず、夏の大会に向けての強化合宿はイジメ・シゴキの嵐。
 下級生達は就寝時間後に、つらさ・悲しさでしくしく泣くのであった。
 そんなある夜、熱を出した弱井が著しく体調を崩してしまう。
 しかし、部長の強田岩子は決して医者に診せようとはしなかった。
 そのために、弱井は夜中に血を吐いて、急死。
 合宿は一時中止されたものの、強豪クラブのために、ほどなく再開される。
 弱井の血で汚れた布団は処分され、新しい布団が届くと、強田部長がこれを使うこととなる。
 だが、夜、その布団からすすり泣きが聞こえるのを部員達は耳にする…」
 「布団」にまつわる怪奇小説は幾つかあるようです。(手もとにあるものとしては、橘外男の原作を、わたなべまさこ先生が漫画化したものがあります。)
 好美のぼる先生にも「夜泣きふとん」という作品がありまして、読んでみたいな〜。

・「古寺にありそうなちょっと怖い話」(1991年「ホラーハウス」9月号)
「バレー部を退部した、花姿かおると熊子は今度は郷土研究会に入る。
 部員はミサ子会長一人だけであったが、早速、三人で山奥の寺を訪ねることとなる。
 その山村では土葬の風習が残っており、寺には死者が生き返ることを防ぐための「御魂石」というものがあるのだと言う。
 三人が荒れ果てた寺に到着すると、中には死んで間もない娘の死体が安置されていた。
 折悪く、住職は用事があって出かけることとなり、三人に留守番を頼む。
 御魂石は娘の死体の上に置かれており、その美しさに魅せられたミサ子は別の石とすり替える。
 そして、夜更け、娘の死体が三人に襲いかかって来た…」
 楳図かずお先生の「鎌」(「楳図かずお大解剖」で読めます)の影響を受けたのでありましょうか?
 まあ、影響はあったとしても、アレンジして、ちゃんと別の作品に仕立てあげております。

・「どこかにありそうなちょっと怖い話」(1992年「ホラーハウス」5月号)
「今度は、美術部に入部した花姿かたると熊子。
 入部早々、コンクールに出品する絵を描くこととなり、遅遅として進まない熊子はたった一人居残りする破目になる。
 熊子が参考になるような絵を探していると、古い絵の中から顔を塗り潰された肖像画が出てくる。
 これに顔だけ描けばいいと考えた熊子は、皆が下校してから、美術室に独りで絵を描いていく。
 だが、美術部の部員の間で、熊子の絵に描かれた人物が抜け出ているという噂が立つ。
 どうも美術部顧問の美原先生はこの絵について何か秘密を知っているらしいのだが…」
 不快度の高い「絵画」ホラーです。
 個人的に、気になるのは、犬木加奈子先生のアシスタントだったらしい青木智子先生の絵がちょこっと窺えることです。
 青木智子先生は、この作品と似たテーマで「呪いの肖像画」という作品を描いておられます。
 犬木加奈子先生の作品と較べても、甲乙つけがたい出来です。

・「蜥蜴(とかげ)」(1991年「ホラーハウス」7月号)
「チナミは、気の弱い女子中学生。
 彼女は、クラスの女子のボス的存在のルイ子のグループにより、いじめの標的となっていた。
 ある日、ルイ子にトカゲを捕まえるよう命令され、おっかなびっくり、どうにか捕まえるが、トカゲは尻尾を切り離して、逃げてしまう。
 トカゲを逃がした罰をして、チナミはルイ子にその尻尾をムリヤリ食べさせられる。
 翌日からクラスで蜥蜴女呼ばわりされるが、チナミの身体には異変が起きようとしていた…」

・「不幸の手紙」(1990年「ホラーM」10号)
「夏休み間も、ひがんで、ひがんで、ひがみまくるユラ子。
 クラスメートが誰も暑中見舞いを寄こさなかったことを逆恨みして、ユラ子はクラスメート全員に「不幸の手紙」を出す。
 そうすれば、クラスメート間の信頼がぶっ壊されると、ユラ子はほくそ笑む。
 そして、迎えた新学期…」

・「ゆがんだ思春期」(1992年「ホラーハウス」3月号)
「その並外れた美貌とは裏腹に、徹底的にサディスティックなキリ子。
 ますひろはキリ子の陰に気付き、距離を置いていた。
 だが、彼以外のクラスの男子はキリ子の美しさに心酔し、犬のように服従していた。
 ある日、ますひろはキリ子を信奉する男子生徒に乱暴され、キリ子に彼女の美しさを認めるよう勧められる。
 しかし、ますひろはそれを拒み、「今までイジメたり殺したりした者たちの呪いをうけたおまえの顔」が見えると、呪いの言葉を投げつける。
 キリ子は教室をとび出した切り、学校を休み、誰とも顔を合わせようとしない。
 ある日、ますひろがキリ子の家の近くを通りかかると、キリ子の姿を見かける。
 キリ子は以前とは打って変わって、慈愛に満ちた人間となっていた。
 彼女に呼ばれ、ますひろが二階にある彼女の部屋に上がると…」

2017年2月27日 ページ作成・執筆

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