犬木加奈子「真・不気田くん@」(1999年7月1日初版発行)

 「永遠の恋人」を求めて、さすらう不気田くん(本名は、木田不美男(きだ・ふみお))。
 彼に目を付けられた少女達の運命は…?

・「真・不気田くん 第一話」(1998年「ザ・ホラー」8月号)
「中学一年生のマユ子は、童話の中の王子様に憧れる、夢想的な少女。
 薬品会社の研究員である父親の都合で、彼女は、同じ年頃の不気田と一つ屋根の下で暮らすこととなる。
 この不気田という少年がシリアスなことを言うのかと思えば、いやらしい人形遊びを始めたり、外に出れば、蝶採集に夢中になったりと、大人らしいのか子供っぽいのかさっぱりわからない。
 そんな時、父親が仕事で、当分、家に帰れなくなる。
 母親は数年前に亡くなり、家では不気田と二人きり。
 マユ子は不気田に備えて武装するが、不気田の気持ちは、マユ子の知り合い、門城チヨ子に向いていた。
 彼は、チヨ子が、昔、彼に呪いをかけたアラクネの転生であることを見抜き、人形を使って、彼女に迫る。
 一方、マユ子は、そんな不気田に、奇妙な嫉妬を募らせていき…」

・「真・不気田くん 第二話」(1998年「ザ・ホラー」10月号)
「ある私立のバラ組に転入した不気田。
 彼は、クラスの網野糸子に、アラクネの面影を見出す。
 彼女は、さほど目立った美しさはないのも関わらず、学校で一番、もてていた。
 だが、彼女は、小さい頃から「遠い昔真実の愛を誓った金の男の子」を夢で見ており、それ以外の男には見向きもしない。
 ハロウィーンパーティでのパートナーの座を射止めようと、大勢の男子がプレゼント攻勢をかける中、不気田はひたすらストーカー行為を続ける。
 そして、迎えたパーティ当日、糸子のパートナーはいまだ不在のまま。
 不気田は、蜘蛛を使って、糸子に赤い糸をつなぎ、彼女を手に入れようとするのだが…」

・「真・不気田くん 第三話」(1998年「ザ・ホラー」12月号)
「白井ユキはちっとも女らしくなく、「男女」とバカにされていた。
 ある日、転校生の不気田と運命の再会をする。
 彼女が小さい頃、幽霊屋敷と噂される、森の奥にある洋館で二人は出会ったことがあった。
 蝶を通して、不気田とユキは意気投合し、親友同士となる。
 ユキは不気田の不思議さに魅せられ、彼が、幽霊屋敷の洋館に住んでいることを突き止める。
 そこで、不気田は、山田(「不気田くんB」参照)という女医と、名目上は母子として暮らしていた。
 山田はユキに不気田の秘密を全て明かし、ユキは、不気田の抱える孤独に大きなショックを受ける。
 一度は屋敷をとび出したものの、ユキはある決意を持って、再び、山田のもとを訪れる…」

・「コレクタくんのおひめさま」〜ウィリアム・ワイラー「コレクター」についてのお話
・「クイーンズ・クェスチョン・コーナー」〜ホラーの女王様が読者からの質問に直々にご回答。不気田が答える場面もあり。

 犬木加奈子先生の名作「不気田くん」は、角川書店から出たホラー漫画雑誌「ザ・ホラー」(出現率低し)にて、新シリーズが連載されました。(注1)
 二巻(最終巻/電子書籍のみ?)を未読ですので、はっきりしたことは言えませんが、不気田くん、徐々にモテてきております。(もとは超イケメンでしたから。)
 また、過去に因縁のあるアラクネが絡む回が増えている模様です。
 でも、結局は未完に終わったらしく、2018年にクラウドファウンディングにて続編のプロジェクトの資金を募るも、残念ながら、失敗してしまいました。
 犬木先生には苦い過去とは思いますが、機会があれば、ハードルを下げて(150万円くらいかな)、再度チャレンジしていただきたいところです。

 ちなみに、「不気田くん」は男女で感想が大きく変わる作品なのではないか?と、私は考えております。
 男の私から見ると、いろいろと思うところはあるものの、女性の方々から大ヒンシュクを買いそうなので、心の奥にしまっておきます。

・注1
 単行本の帯には、アニメ化(東映アニメーション)が決定した旨、記されております。
 観てみたいなあ〜。
 あと、不気田くん携帯ストラップも気になるところです。

2020年2月18・23・29日 ページ作成・執筆

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