左馬一平「赤とんぼ 百一物語」(220円)



「永禄三年(1560年)、野心を抱く浪人(名前は不明。百一?)が、戦場で、奇怪な老婆と出会う。
 老婆は、死神の仲間の隠霊婆(おんりょうばば)で、戦死者の魂を袋に集めては、十万億土へ連れて行くのが役目であった。
 浪人は老婆から「龍運の相」があると言われるが、それは「いちど水を得たならば一気に天まで昇る」ことができるらしい。
 浪人が「出世するための水」がどこにあるかと問うと、老婆は死神に魂を渡さねばならないと答える。
 彼が承諾すると、突如地が割れ、地の底で彼は奇怪な体験をする。
 以来、彼は、いくら傷つけられようと平気な、不死身の肉体を得る。
 この身体をもって、彼は佐賀野城(架空の城か?)に殴り込みをかけ、城を奪取。
 また、日本大盗之助と名乗って、近隣の国を襲撃し、攻略していく。
 彼の勢力を見て、越後の上杉謙信、甲斐の武田信玄、尾張の織田信長等が彼に誘いをかけるが、増長した彼はこれを一蹴。
 暴言に怒った信長達は、彼の殺害を試みるのだが…」

 この表紙とタイトルで、ありきたりな時代劇を予想していたら、「不死身となった侍の活躍と悲哀」という内容で、のけぞります。
 更に、このマンガの主人公によって、武田信玄と上杉謙信は殺され、織田信長や徳川家康は、影で操られていたという衝撃の事実が発覚!!(んなワケ、ね〜だろ!!)
 と書いたら、メチャクチャ面白そうですが、左馬一平先生の作品ですので、出来はイマイチです。
 冒頭、主人公が高山藩に雇われる展開があるのですが、回想に突入してから、作者はそのことを忘れてしまったらしく、結局、進展はありません。
 また、絵も「描きとばしたオーラ」ムンムンで、かなり雑です。
 でも、この時代に「不死身」をテーマにした作品を描いた、チャレンジ精神は、素直に凄いと思います。
 この作品、元ネタってあるんですかね…?

・備考
 パラフィン紙、貼り付けあり。裏側に、何かをぶつけたような窪みあり。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり(一人しか借りてない…)。

2020年4月6日 ページ作成・執筆

曙出版・文華書房・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る