鈴原研一郎/北沢しげる「雪おんな物語 雪の炎」(220円)
収録作品
・鈴原研一郎「雪の炎」
「スキーの最中、雪山で遭難してしまったノンコとアッコ。
先を見通せないほどの雪の中、二人は立派な屋敷を見つける。
そこには和服の美しい婦人が一人で住んでいて、快く二人を屋敷に招き入れる。
しかし、屋敷の中には火の気がなく、出された飲み物はアイス・コーヒー、おまけに風呂は水風呂であった。
気味悪く思った二人は翌朝には屋敷を出ようと話すが、夜更け、二人の荷物が盗まれる。
アッコは荷物を捜しに部屋を出ると、廊下に屋敷の婦人が待ち構えていた。
人間とは思えない、冷たい手…アッコは荷物を取り戻して、部屋に逃げ帰る。
二人は婦人が雪女であることを悟るが、すでにマッチが荷物から抜かれていた。
雪女の魔の手が二人に迫る…」
ラストが意外にトラウマ度が高いです。
雪女の溶ける顔、当時のチビっ子達にはかなり怖かったのでは?
・北沢しげる「雪のおんな」
「ある雪国の白倉岳の奥。
そこには、猟師を営む父親と、16歳の千恵子と猟犬のジローが暮らしていた。
雪解けの近いある日、千恵子は道の外れに足跡を発見する。
それは見知らぬ青年の足跡で、彼はどこかに向かおうとするも、千恵子の目の前で卒倒。
千恵子は父親を呼び、家に担ぎ込む。
青年が意識を取り戻した後、食事をしながら、父親は事情を尋ねるが、どうしてここまでやって来たのか記憶がないと言う。
しかも、ランプが消えたちょっとの間に、青年は姿を消してしまう。
二人が外を捜すと、青年は崖っぷちに向かって、歩みを進めていた。
父親が取り押さえて、事なきを得るが、青年はこのことも覚えていない。
青年が夢遊状態の時に口にした、まゆみという女性のことを聞くと、彼女は青年の恋人であった。
しかし、孤児であったために、青年の両親に結婚を反対され、失踪。
それ以来、青年は、雪の中で青年を呼ぶまゆみの夢を毎晩見るようになる。
先ほども、ランプが消えた時、横にまゆみが立っており、青年を招いたと話すのであった。
千恵子の父親は、青年をノイローゼ気味と判断し、気が済むまでここに滞在するよう勧める。
自然の豊かな山奥で、心清らかな千恵子と日々過ごすうちに、育也という名の青年は明るさと希望を取り戻していくのだが…」
どこかで読んだことがあると思ったら、阿木二郎「わたしは雪女」と若干、似通っている部分があります。
ただ、「若い仲間たち」シリーズといった青春もので活躍した、北沢しげる先生の筆によるものなので、明朗かつ健康的な内容になっております。
私は大して「健康的」な人間ではありませんが、北沢しげる先生のマンガ、個人的に大好きです。
青春マンガは言うに及ばず、怪奇マンガであっても、非常に丁寧に描かれておりまして、漫画とその読者に対して真摯な姿勢に心打たれます。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。袖にビニールカバーの残り貼りつき。巻末の遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2016年6月16・17日 ページ作成・執筆