好美のぼる「尼寺へおいで」(220円/1967年頃?)



「西川佐代子は工場で働く娘。
 父親が病気で臥せているため、彼女が一家を支えていた。
 そんな彼女を、クリーニング屋の青年、橋本好文はいろいろと励まし、援助する。
 給料日、佐代子は給料袋を落として、困り果てる。
 そこに、道明寺の庵主が現れ、彼女が「好き」だからという理由で、金を貸してくれる。
 しかし、好文はそれを聞いて、佐代子が自分を頼らなかったことに腹を立てる。
 そこで、彼からお金を借り、佐代子と好文は庵主に金を返しに行く。
 庵主は二人に雑炊を御馳走するが、佐代子は椀の中に人間の人差し指を見つけて、寺をとび出す。
 結局、お金を返し損ねて、帰宅するが、母親によると、庵主が貸してくれたお金は五万円という大金で、それを薬代に使ってしまったという。
 しかも、庵主は、お金の代わりに、佐代子を寺の後継ぎに欲しいと言い、母親は勝手に承知していた。
 一方、好文は、雑炊の事件以来、道明寺について調べる。
 そこには変な噂があり、弟子の尼達が皆、行方不明となっただけでなく、業者の出入りは禁止され、庵主が何を食べているかもわからない。
 だが、好文は消息を絶ち、佐代子はなし崩し的に尼寺にやらされる。
 翌日に得度の式を控えた夜、寺に泊まった佐代子の前に、尼達の亡霊が現れる。
 この寺の秘密とは…?
 そして、庵主の正体は…?」

 唐沢俊一氏・監修の名著「まんがの逆襲」(福武書店)で紹介され、「わーこわい ほんとに何者なんだろう」で有名な(気のする)作品です。
 好美のぼる先生お得意(?)の「描きとばし」感溢れる内容で、分裂的なショック描写と支離滅裂な展開を味のある雰囲気で読ませるのは凄いというか何ちゅ〜か…。
 他の作品にもありましたが、「人の血で経文」の元ネタは何なのでしょうか?

・備考
 ある親切な方から貴重な御本をお借りしました。本当にありがとうございます。借りたものですので、問い合わせをされましても、答えられないことが多いと思います。ご了承ください。

2021年11月14日 ページ作成・執筆

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