鈴原研一郎/北沢しげる「リンダの呪い」(220円/1967年頃?)



 収録作品

・鈴原研一郎「リンダの呪い」
「19世紀後半のイギリス(推測)。
 ミッション・スクールの生徒であるエマ・ブラウンは、ロンドン郊外にあるクリストファという男の屋敷に家庭教師として出向く。
 屋敷を訪れた日、広い庭にある沼でエマは黒衣の女性を見たように思う。
 館の主、クリストファは五年前に妻を亡くした男やもめで、エマには子供の勉強よりも様子を見るように頼む。
 クリストファが言うように、兄妹レオとヘレンの様子はおかしい。
 目付きが尋常でないし、エマが身につけている十字架を妙に恐れている。
 実は、数年前に、この屋敷の沼に身を投げた、女中のリンダと召使のモーリスの二人の霊が子供達に憑りついていたのであった。
 子供達を救うために、エマは尽力することを誓う…」
 粗筋だけを読むと、ヘンリー・ジェームズ「ねじの回転」を彷彿させます。
 ですが、かなり昔に読んだので、内容をすっかり忘れてしまってます。
 創元推理文庫で新訳が出ておりますので、読み返すことがあれば、また検証いたしましょう。
 それから、個人的な推測ですが、鈴原研一郎先生は、「ねじの回転」の映画版「回転」(1960年前半)を観て、インスパイアされたのかもしれません。
 ただし、この「回転」という映画、私は名前を聞いたことがあるだけで、実際に観たことがありません。
 私の知る限り、ビデオもDVDも出ていないはずです。
 個人的には、ロジェ・ヴァディム「血と薔薇」(高校生の頃、一度だけテレビで観た)と並ぶ、幻の映画です。
 と、まあ、ごちゃごちゃ曖昧なことばかり言って、申し訳なく思います。
 ちなみに、この「リンダの呪い」というマンガ、内容的にはたわいないものです…。

・北沢しげる「よみがえった呪い」
「乗り合い馬車に乗り合わせた、騎兵少尉ジミイ・マルデン、ドクター・キンブル、病気の兄を訪ねる途中のヘレン。
 日暮れ前、彼らは行程の途中で、御者に強制的に馬車から降ろされてしまう。
 御者は、呪いの森の中に一月前までには存在しなかった城が出現しており、昔から言い伝えられたいた悪魔が蘇ったに違いないと恐れ戦く。
 仕方なく、三人は一番近くにあるヘレンの兄の館へ徒歩で向かう。
 ヘレンの兄は病気とのことだったが、床に臥せるわけでもなく、本人はそのことを否定していた。
 しかし、顔は真っ青で、目は真っ赤に充血し、喉元には二つの小さな穴がある。
 ドクター・キンブルが診察を申し出るが、その必要はないと、兄の主治医のピーターという男が現れる。
 ピーターは、尖った歯、炎のような眼に、血のような唇、そして、氷のように冷たい手をした、不気味な男であった。
 翌日、土砂降りで三人は屋敷に閉じ込められるが、ヘレンの兄は姿を消していた。
 ドクター・キンブルは退屈しのぎにヘレンの家系の年代記に目を通していると、ある記述に行き当たる。
 その記述は「城」のことに触れており、その城はドラキュラの住む城のことであった…」
 ちょっと読めば、見当がつくと思いますが、「吸血鬼」ものです。
 大抵、陳腐なものが多いのですが、このマンガに出てくる吸血鬼は蝙蝠や蜘蛛に化けたりして、頑張っております…が、やっぱり、あっさり殺られます。
 後書きにおいて、北沢しげる先生は、
「「ドラキュラ」っていうのは、日光とニンニク、それから、十字架をはじめとする、すべての神の息のかかったものに弱い……という正直なところがあるので、ぼかあ好きだなあ……」
 と、述べております。
 う〜ん、そういう見方もありましたか…。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり、それによるカバーの剥げや痛み。前後の遊び紙、貼りつき。糸綴じあり。巻末の新刊案内にスタンプ押印。p1、遊び紙にページの一部が貼りつき、剥げ。

2016年6月24日 ページ作成・執筆

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