好美のぼる「妖怪アパート」(230円)
「親と喧嘩をして、家出をした、金持ちのお嬢様、春山文子。
公園のベンチで途方に暮れる彼女に、奇妙な老婆が女性のみのアパートを紹介する。
気がつくと、文子はアパートの部屋にいたが、窓の外には何もなく、出口すらない。
アパートの部屋をいくつもさまよううちに、文子は自分の心にある「嫉妬」「貪欲」「意地悪」「怠惰」と対面することとなる…」
この作品は、「表紙」と「巻頭ダイジェスト」が素晴らしいのです!!
好美のぼる先生の作品の「表紙」はセンスの泥臭いものが多い気がするのですが、この作品に関しては、どこかスタイリッシュな感が(個人的には)あります。
また、「巻頭ダイジェスト」は、凄まじく悪夢的かつ猟奇的で、雰囲気満点。(以下の画像を参照のこと)
ただ注意しなければならないのは、この「巻頭ダイジェスト」、本編とは全く異なります。本当に関係ないです!!
相変わらずテキト〜かましておりますが、ここは一つ、「巻頭ダイジェスト」から想像力を膨らまして、描かれることのなかった、もう一つの「妖怪アパート」に思いを馳せてみたら如何でしょうか?
個人的には、この巻頭ダイジェストは、想像力を猛烈に刺激する点において、数ある巻頭ダイジェストの中で白眉だと考えております。(注1)
あと、言い忘れておりましたが、本編はどうでもいいです。
巻頭ダイジェストで期待してたら、かっくん、腰砕け必至です。
まあ、今は本編は本編で楽しむ余裕ができましたが、最初のショックはやはり忘れがたいのです。
「妖怪百面相」(その他の出版社/曙出版)にて、「ふし穴からの悲鳴!」(多分)とのカップリングで再録されております。
・注1
と大口を叩きましたが、私、好美のぼる先生の作品の1%もまだ読んでおりません。
また、入手難易度は年々高まる一方ですので、これから先も目にする機会はほとんどないでしょう。
私は正直なところ、もうお手上げです。
ふさわしい人によって好美のぼる先生が深く語られる日が来るよう祈っております。
・備考
ジャンク。本体が表紙から外れて、ページがバラバラ。ビニールカバー貼り付け。糸綴じ穴あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2016年12月11日 ページ作成・執筆