江戸川きよし「とかげ娘」(220円)

「活発な少女、鈴香は、姉とボール遊びをしていた際、草むらにいたトカゲを棒でいじめる。
 トカゲなんか怖くもなんともない鈴香であったが、就寝中、顔を覗き込んだトカゲには腰を抜かさんばかりにびっくり。
 そのトカゲを追い回しているうちに、切れたしっぽに生理的な嫌悪感を覚える。
 このことがあってから、鈴香はすっかりトカゲ恐怖症になってしまう。
 事あるごとにものがトカゲに見えてしまい、軽くノイローゼ気味の鈴香に、姉は車の運転を習うよう勧める。
 教習所で車の運転を習ううちに、生来の活発さを取り戻していくが、ある日、鈴香はトカゲを轢き殺してしまう。
 ショックのあまり、教習所から走り出た鈴香はトラックに轢き逃げされ、片腕片足切断の大怪我を負う。
 しかし、重体であるはずの鈴香はいつの間にか病院から姿を消し、実家に戻って来ていた。
 それも五体満足な身体で…。
 とりあえずは、喜ぶ家族であったが、鈴香の身体には異変が起きていた…」

 相変わらず、ヒドいマンガなのであります。
 テキト〜な絵にテキト〜なストーリーに構成…と「テキト〜」尽くしであります。
 冒頭、夢遊病の少女が墓場で消える話がありますが、それが本編とほとんどつながりません。
 また、ストーリー的にも鈴香が「とかげ娘」になる必然性が全くなく、本当に投げやりです。
 トカゲ恐怖症が高じて、「とかげ娘」になったと言われても、説得力は皆無であります。(と言うか、明らかに説明を放棄しております。)

 と、突っ込みを入れれば、あちこちからボロが出るような作品ですが、たった一つ、「とかげ娘」というアイデアは結構イカしているかも。(注1)
「蜥蜴(とかげ)」をテーマにした作品は、浅学故、古賀新一先生の「女とかげ」と、犬木加奈子先生の「蜥蜴」ぐらいしか思い浮かびませんが、この作品は犬木加奈子先生のマンガの方に近いです。
 手や足、もちろん、頭まで再生可能で、容貌の方もトカゲ化していきます。
 が、大して高くない画力のせいで、全く迫力がありません。
 手や足が景気よく抜けては再生するシーンでは「は〜、すっぽん、すっぽん」(by ひざかた歳三25歳)というセリフが脳裏をよぎります。


・注1
 まさかとは思いますが、「トカゲ+少女」のアイデアはこのマンガが最初とか?!(確証は全くありません。)
 楳図かずお先生あたりが描いていてもおかしくないとは思いますが、記憶にないのであります。
 より詳しい方の検証を待つばかりであります。

・備考
 カバーに一部剥げとシミ。非貸本らしく、経年の痛みはあるものの、状態は並上では?。

2016年4月3日 ページ作成・執筆

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