好美のぼる「テレビスター」(220円)



「夏目久美子はテレビスター。
 しかし、当の久美子はテレビスターを望んでいなかった。
 久美子がスターであるばっかりに、まともな学校生活も送れず、家庭ではDV野郎の義父はますます働かなくなる。
 また、久美子をライバル視する下条友子とその母親は、久美子に対する嫌がらせをエスカレートさせ、脅迫まがいのことまで行う。
 唯一の理解者である母親に慰められながらも、様々な葛藤の中で、久美子は悩み苦しむ。
 そんなある日、重要なテレビ・ドラマ「白さぎの子」の主役のオークションを久美子は友子と共に受けることとなる…」

 表紙に「少女スリラーシリーズ」と書かれておりますが、これって「スリラー」では絶対にありません。
 ドラマの主役を巡って、ヒロインが命の危機にさらされるのかと思いきや、突如、特別学校の生徒達のためにサギの写真を撮ろうとする老人と少女の交流を描いたドラマ「白さぎの子」の話が35ページにわたって展開されます。
 んで、「スリラー」や「サスペンス&ミステリー」っぽいことはほとんど起こらず、「ドラマが成功して、久美子はテレビスターとしての運命を受け入れた」という、取って付けたようなラストを迎えて、チョン。
 「スリラー」という看板を掲げながら、実際はテレビ業界の「内幕もの」なのです。
 こんなにだまされた感のあるマンガって、なかなかないかも…。(あまり借りられなかったのか、中がまあまあきれいでした。)
 強いて良いところを挙げますと、テレビ業界への好美のぼる先生流解釈が窺えるという点でありましょうか。

・備考
 ビニールカバーの剥がし痕あり。カバーの背表紙、上下に痛みあり。pp13〜20、乱丁のため、逆さに印刷。pp134・135、貼り付きのため、ページの一部分、剥がれ。前後の見返し、セロテープの跡、幾つもあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2016年12月25・27日 ページ作成・執筆

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