北沢しげる「のろいの森の物語」(220円)
「ある僻村。安息日の夜。
超心理学を研究する青年、メルは、村人の制止も聞かず、サバスの森に出かける。
そこで、その道の権威と会うことになっていたのだった。
森ではエルザという娘が彼を迎えに来たが、どうも様子がおかしい。
それもそのはず、彼女は二百年ぶりに蘇えった魔女が変身したものであった。
魔女の操る烏の群れに襲われて、気絶したメルは、ある家で目を覚ます。
そこは、メルが会う予定だったドクトル・ピーターの家であり、彼を迎えに行ったドクトルの娘、エルザに発見されたのであった。
ドクトル・ピーターは元来医者であったが、古文書にのめり込むうちに、超自然学の研究者になったのである。
ドクトルはメルの話を聞くと、古(いにしえ)の魔女がその予言通りに復活したことを知る。
古文書によると、この地にはかつて邪悪な魔女が住んでおり、ドクトルの先祖により火刑にされた。
その際、紅蓮の炎の中で、魔女は三代の後に必ず生まれ変わり、ドクトルの一族に復讐すると予言したのである。
魔女と対決すべく、ドクトル・ピーターはこのサバスの森に住んでいたのだが、この夜、遂に魔女が復活。
しかも、魔女を滅ぼすチャンスは(説明はないけど)今夜の間だけ。
ドクトルによると、魔女の呪文板を探し出し、それに聖水をかけると、魔女はその魔力を失うとのこと。
しかし、魔女は長年と執念と狡知をもって、まず、ドクトルの理解者である神父を惨殺。
森に孤立した、残りの三人を一人ずつ引き離して、魔女は復讐を果たそうとする…」
なかなか面白いとは思います。
黒魔術的な道具立てが(ちと薄味ですが)活用されていて、ストーリーの破綻もほとんどありません。(どんでん返しもあります。)
ただ、個人的には、ラストがちょっとあっさりし過ぎのように感じました。(でも、「血まみれ農夫の侵略」のラストの千倍は迫力あります。)
・備考
ビニールカバー貼り付け。表紙のビニールカバーが一部剥げ、その下にあったカバーも欠損かつ痛み。前後の遊び紙貼りつき。
2016年8月25日 ページ作成・執筆