「オール怪談・31」(170円)



 収録作品

・「幸せな男」
「目的を達成するためなら、手段を選ばない産業スパイ。
 不可能はないと豪語する彼だったが、さすがの彼も手にあまる仕事があった。
 初めての失敗でプライドを傷つけられた彼のもとに電話がかかってくる。
 電話の主は、アラビア風の外国人を連れた小男であった。
 小男が言うには、この外国人は人の姿を消す術をかけることができるとのこと。
 物は試しと、産業スパイは術をかけてもらうのだが…」
 「SF(怪奇)入門」(ひばり書房黒枠)にて再録。

・小島剛夕「刺青」
「無宿者というだけで、身に覚えのない罪を着せられ、八丈島へ遠島となった芳太郎。
 幸い、二年で赦免され、恋人の志乃と再会する。
 芳太郎はもう一度、やり直そうと決意するが、彼の周囲には「まむしの伝三」の姿があった。
 岡っ引きの伝三は芳太郎を陥れた張本人であり、芳太郎をとことんまで追い詰めるつもりであった。
 芳太郎は様々な職場で必死に働くものの、伝三により前科者であることがばらされ、どこも長く勤まらない。
 ある時、質屋の老夫婦が殺される事件が起こり、刺青持ちの芳太郎に真っ先に嫌疑がかかる。
 芳太郎の身を案じる志乃の前に、伝三が現れ、芳太郎を助ける代わりに、商家への縁談を受けるよう持ち掛ける。
 愛する人を救うために、志乃はその提案を受け入るのだが…」
 「怪談 増刊号(盛夏納涼特集)」にて再録されております。


・落合二郎「舞扇」
「春本小よしという若い娘を座長とする都座。
 彼女の父親の借金のために、山権(やまごん)という金貸しから一座は劇場の立ち退きを迫られる。
 山権はある事情から芝居というものを嫌っていた。
 そんな時、一座に芝居をテレビ中継させて欲しいという、またとない話が舞い込む。
 宣伝のために一座の衆が町を練り歩いていると、無銭飲食をして殴られる少年を目にする。
 彼らは金を払って、少年を一座に連れて帰ると、勇という少年は孤児であった。
 不憫に思った小よしは少年を劇場に置くことにする。
 その夜、一人の劇団員が不審な物音に目を覚まし、音の出所の舞台に向かう。
 そこでは、勇が、モミジの印の入った扇を持って、若い男女から舞いを指導されていた。
 その若い男女は劇団員の目の前で消え、泡喰った彼はこのことを小よしに知らせる。
 小よしが勇に尋ねると、若い男女は亡くなった両親とのことなのだが…」

・北風三平「蠅」
「網走刑務所。
 少女殺しの冤罪を着せられた青年、森川九一。
 彼の妹は眼の手術をしなければ、失明の恐れがあり、独房で彼は悲嘆に暮れる。
 そこへ、隣の独房の囚人が壁越しに合図をしてくる。
 事情を聞いた隣の囚人は、彼に脱獄の方法を教える。
 彼は床下にトンネルを掘っており、そのトンネルは九一の独房の床にもつながっていた。
 九一は床のコンクリートを壊し、隣の囚人と共に逃走。
 九一は妹に一緒に大阪に向かおうと電話をかけ、東京へ向かうが、その電話は混線していた…」
 脱獄方法は、脱獄を描いたフランス映画「穴」の影響があるのではないでしょうか?
 ただ、二十年くらい前に観た映画なので、うろ覚えです。

 扉絵は「オール怪談・73」にて再利用。
 巻末に、「浜慎二 ぼくと君の漫画コーナー第2回」というのがありますが、一体どれだけ続いたんでしょうか?
 若かりし頃の浜慎二先生の写真も載ってます。

・備考
 ビニ―ルカバ―貼り付け。糸綴じあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕、書き込み、スタンプ押印あり。

2017年10月18日 ページ作成・執筆
2021年1月8日 加筆訂正

貸本・ひばり書房・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る