「オール怪談・40」(170円)



 収録作品

・浜慎二「おふくろ」
「ボクサーを夢見る、高校生の青年。
 息子のみが生きがいの母親は心配でたまらない。
 ある夜、試合からの帰り道、青年は轢き逃げに遭い、死んでしまう。
 その知らせを聞いた母親はショックで気がふれてしまう。
 そして、息子の死を理解せず、息子は必ず帰ってくると断言するのだった。
 一方、青年を轢き逃げした男は、うまく隠しおおせていた。
 轢き逃げをした翌日、やむを得ない事情で男が雨の夜に車を出すと、後部座席に青年が座っていた…」
 「オール怪談・78」にて再録。

・小島剛夕「埋れ木」
「ある領国の新城の若殿である新三郎は、山の景色を楽しむうちに深入りしてしまう。
 新三郎は、滝のほとりから聞こえてきた、妙なる笛の響に導かれ、おぼろと出会う。
 新三郎はおぼろに美しさに心打たれ、おぼろも新三郎の面影が胸に焼きつく。
 だが、おぼろの正体は忍者であり、父親とその仲間は新三郎の命を狙っていた。
 二人から新三郎の命を救ったものの、おぼろが忍者であることを知った新三郎は彼女に背を向ける。
 数日後の夜、おぼろは新三郎の胸のうちを知るために、城に潜入する…」
 「オール怪談・79」にて再録。タイトル・ページと粗筋紹介ページをご覧になりたい方はそちらへどうぞ。

・北風三平「血の無い男」
「産業省を揺るがした一大汚職事件。
 事件の鍵を握る課長が二人相次いで変死し、真相は闇の中となる。
 だが、変死したうちの一人は幽霊となる。
 彼は口封じのため、殺されたのであり、復讐のため、事実を明らかにしようとする。
 だが、死んだ彼に、生きている人々は誰も気付かない。
 ようやく彼を見える人物に巡り合えるのだが…」
 皮肉なラストが味わい深いです。
「ああ 生きてる人間と話がしたーいっ!!」と頭を抱える主人公は滑稽ながらも、気持ちはよく伝わります。

・サツキ貫太「母恋い鳥」
「凄腕の殺し屋、ワルサーの鉄。
 彼は、命を狙われているのを知りながら、実の母親を探すために、町に戻ってくる。
 彼は捨子で、身から離さない首飾りの玉は彼に残された唯一の母親の思い出の品であった。
 置手紙によると、この玉は彼が危難の時に母の力で救うと書かれていた。
 情報屋の少年の助けを借り、彼は母親の居場所を突き止める。
 しかし、これは彼に殺されかけた殺し屋とその情婦の仕掛けた罠であった…」
 サツキ貫太先生お得意(?)のヘンな「ギャング怪奇もの」ですが、ラストが意味不明で、イマイチです。

 浜慎二先生による扉絵が「オール怪談・78」にて流用されております。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。前の遊び紙に貸本店のスタンプ押印。前後の見開きの奥、補強あり。糸綴じあり。扉絵、遊び紙とくっつき、剥がれあり。コマにかかる切れ、幾つかあり。

2017年3月17日 ページ作成・執筆

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