「オール怪談・58」(1965年頃/220円)



 収録作品

・小島剛夕「黒い腕」
「上意により討手を差し向けられた乾(いぬい)小七郎。
 彼は非常に優れた剣の腕を持ちながら、武士も町人も区別なく斬り殺してきたのだった。
 討手を志願した、彼の幼い頃からの親友である金吾に、小七郎はことの経緯について語る。
 全ての原因は、鬱血したように黒ずんでいる、彼の右腕だった。
 三年前、城下にどこからともなく、浪人が現われ、それが魔剣とも言える技をもって、決闘をしかけられた武士達を斬っていった。そして、被害者は町民にも広がり、討手として立ち向かった師範代も返り討ちに遭うという始末。
 そんな中、いざこざに巻き込まれ、竹刀一つろくに持ったことがない小七郎は浪人を討つことを命ぜられる。
 おっかなびっくりで立ち向かうが、偶然が重なり、右腕を斬り落とされたものの、浪人を討つことに成功。
 その際、浪人の右腕を失った右腕の代わりにくっつけたのだった。
 回復は早く、武士の面目も取り戻した小七郎だったが、一月程経った頃、その腕が黒く鬱血した時、腕が耐えがたいほどに疼きだす。
 そして、その疼きから逃れる方法は、人を斬って、血を見ることだった…」

・岩井しげお「涎(よだれ)」
「異母弟というだけで、冷や飯喰らいの次男坊。
 彼は兄に薬をもって、廃人にして、その地位も財産も自分のものにする。
 が、ことあるごとに涎が流れ出し、それが災難を呼び寄せるのだった…」

・白土三平「赤目(第一部)」
「永禄年間。
 伊予守信平(いよのかみのぶひら)は極悪非道な領主であった。
 人の命を虫ケラ程度に考えず、徹底して農民達を搾取する。
 妊娠した妻を腹を割かれて殺された男は復讐を決意。  が、一揆は失敗し、傷ついた男は行き倒れるが、忍者に拾われる。
 男は忍者になろうと努力するが、その才がなく、傷ついた身で山中に捨てられる。
 山犬の群れに襲われたところを、猟師に助けられるが、片目片足を失ってしまう。
 それでも、男は復讐をあきらめない…(弟二部に続く)」

 ・備考
 ビニールカバー貼り付け。前の遊び紙及び扉絵に落書きあり。p27(岩井作品の扉絵)に大きな落書き。p59(岩井作品)に落書き。pp32〜39(岩井作品)にかけてページの間に何かが挟まり、それがくっついて剥がれた痕あり。pp40・41(岩井作品)、輪ゴムか何かが挟まって、それが溶けて張り付いたような痕あり。後の遊び紙に茶色い紙が貼り付け。

平成26年11月25・26日 ページ作成・執筆

貸本・ひばり書房・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る