「オール怪談・75」(220円)



 収録作品

・いばら美喜「眼には眼を」
「あるバス停に降り立った、サングラスをかけた男。
 彼の眼は邪眼であり、彼の眼を見てしまうと、その者の目は潰れてしまう。
 彼は東京観光に来た際に、彼のために失明した女性を空き地に呼び出す。
 彼は両親の呵責に耐えかね、家を売った金を持って、謝罪をしに来たのであった。
 待ち合わせの空き地に、サングラスをかけた女性とその弟が現われるが…」
 「オール怪談・38」からの再録。  また、「ブラック怪談」(ひばり書房黒枠)にて再録。

・小島剛夕「帰らざる男」
「夏、田舎の港町。
 浅吉と言う男が、兄弟分だった常吉の家を訪ねる。
 浅吉は常吉の両親と許婚に、犯罪者が流される佃島での出来事を話す。
 常吉は、江戸にいた頃、むかでの伝次という悪党と関わりを持ち、共に遠島になった。
 蒸し暑い日、津波が起こり、伝次はこれを機に島抜けしようとする。
 断る常吉に、伝次は島抜けに付き合うよう無理強いする。
 常吉を助けようと、浅吉は伝次の後頭部を棒で殴り、常吉と高台を目指すが、波に飲み込まれてしまう。
 そして、常吉は行方不明になり、助かったのは浅吉だけであった。
 常吉の最期を知らせてくれた浅吉を、両親は常吉の代わりとして家に置く。
 浅吉はその家の主人に納まるが、十年後、蒸し暑い日…」
 「オール怪談・45」収録の「島抜け」を改題して、採録したものです。
 目次の後の紹介ページは「眠れぬ墓標」(「オール怪談・38」収録)のもので、何故間違えて載せているのか、謎です。

・竹田きくお「白い女」
「雨の降る夜。
 タクシーの運転手は突如、とび出して来た女性をはねてしまう。
 幸い、怪我は大したことがなく、運転手は彼女とその飼い猫を家に送ろうとする。
 が、どうも様子がおかしい。
 質問をしても答えは要領を得ないし、こんな雨の日に薄い白い着物だけしか着ていない。
 女性の指示に従い、車は山奥の道を進んでいく。
 ようやく山の中に人家を見つけ、運転手はそこに住む老夫婦にことの次第を告げるが…」
 半世紀前から「タクシー幽霊」の話はあったみたいですね。
 ちなみに、ページの乱丁が少しありまして、p75→p77→p78→p79→p76→p80が本来の順番だと思います。
 もし、読まれる機会があれば、ご注意くださいませ。

・関すすむ「怨霊」
「交通事故の絶えない、高速道路の魔のカーブ。
 そこには女性と乳飲み子の幽霊が出ると噂される。
 時を同じくして、その高速道路の近くに住む老婆から母乳が出始める。
 その老婆の前に、毎夜、乳飲み子を抱いた女の幽霊が現われ、子供に乳を飲ませるよう要求する。
 老婆はどんどん痩せ衰えるが、女の幽霊にはこのことを漏らせば、命はないと言われている。
 老婆の息子は母親の変調を訝り、母親から理由を聞き出し、その夜、押入れに隠れて、様子を見ることにする。
 が、息子が見たのは、彼が以前にだまして殺した女だった…」
 ヘンな話です。
 しかも、ラストにスプラッターな残酷描写が炸裂!!
 100%「好き者」向けの内容であります。怪作。

・備考
 状態悪し。カバー痛み及び貼り付け。背表紙色褪せ。糸綴じあり。前の見返しの裏に赤鉛筆による落書きあり(円が三つ描いてある)。pp130・131の奥(?)の方に何かがくっついて、剥げた痕あり。

2014年12月16日 ページ作成・執筆
2017年5月9日 加筆訂正
2018年10月8日 加筆訂正

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