「オール怪談・83」(220円)
収録作品
・いばら美喜「殺さないで」(注1)
「ひなびた温泉街に休養に来たガンマン。
彼は殺し屋が若い娘を背後から狙撃しようとするのを目にして、彼女を助ける。
ガンマンが命を狙われた理由を問うと、彼女は自分はある殺人事件の目撃者だと説明する。
彼女の証言で殺人犯は死刑判決が下ったが、殺人犯の父親は殺し屋を雇い、彼女を亡き者にしようとしているのであった。
そんな彼女をガンマンは守ることを決意する。
しかし、彼女は老人は根は善人なので殺さないようガンマンに懇願する。
ガンマンは残りの殺し屋を倒し、最後に当の老人が現われる。
老人はガンマンに、若い娘の正体を明かすのだが…」
「オール怪談・34」からの再録です。
・小島剛夕「鈴の音」
「火急の用の為に早馬を駆っていた侍。
彼は、見通しの悪い山路で、巡礼の女性が崖から墜落するのを見殺しにしてしまう。
任務を無事に果たしたものの、それから、良心の呵責に苛まされる日々を送る。
心の苦しみが薄らいできた頃、巡礼の鈴が聞こえ、彼の前にその女性が姿を現す。
彼は女性の亡霊から逃れるため、旅に出るが、鈴の音はどこまでも彼を追ってくる…」
手塚治虫先生の「ザ・クレーター」の中の一編にもありましたが、過去に罪を犯した者が鈴の音に苦しむという話は、元話があるのでしょうか?
それにしても、小島剛夕先生にしては、小粒の作品であります。
ここには歴史的大ロマンも、運命に引き裂かれる男女の大悲恋も、愛憎渦巻く人間喜劇もありません。
ここは一つ、小島剛夕先生にあまり見られない、甘ったるさを堪能すべきでありましょう。
「怪談・47」からの再録です。粗筋紹介のカラーページをご覧になりたい方はそちらへどうぞ。
・関すすむ「洗脳」
「事故死した子分の一人が大金持ちの建築家となって、組長のもとに挨拶に来る。
組長が彼のことを探ると、彼は宇宙人に改造(?)されていたことが判明。
宇宙人は地球を侵略するために、社会のつまはじき者である暴力団に目をつけたのだった。
組長は宇宙人に立ち向かうが、子分は片端から宇宙人にされてしまう…」
唐沢俊一氏・編「カルトホラー漫画秘宝館 みみずの巻」にて復刻されております。
復刻の方は差別的な言葉がかなり削除されておりまして、原典を読み較べると、なかなか興味深いものがあります。
中表紙と、いばら美喜「殺さないで!」が「オール怪談・34」からの再録です。
・注1
目次では「殺さないでね」とかわいくなっております。
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。前後の見返しに紙テープ・ビニールテープによる補修。後部の見返し欠。pp5〜9、20(いばら作品)目立つシミあり。pp55・56(小島作品)下部に折れ跡あり。中身は全体的にきれいなものの、小シミ・小汚れあり。
2015年1月2日 再びページ作成・執筆(誤って文章を削除してしまった為)
2016年8月16日 加筆訂正
2018年5月29日 加筆訂正