「オール怪談・84」(220円)



 収録作品

・いばら美喜「沼の主」
「山中を逃亡中の強盗犯。
 炭焼き小屋で暮らす、父と娘に出会う。
 父親の持っているダイヤの指輪に目をつけ、炭焼き小屋の近くにあった底なし沼に沈め、殺害。
 だが、娘に父親を殺したことを知られ、強盗犯は彼女も殺そうとするのだが…」
 「オール怪談・21」からの再録。

・小島剛夕「花のかおりに」
「陸奥での戦から都に戻ってきた侍。
 京は戦火に巻き込まれ、荒廃していた。  侍は想い人の夕姫を探し求めるが、屋敷の跡すらわからない。
 日没前に、侍は蘭の花を手に持つ女乞食を目にする。
 蘭は夕姫の好きな花であった。
 侍は女乞食に蘭の花がある場所への案内を乞う。
 女乞食が案内した先には、見慣れた土塀、邸、そして、夕姫がいた。
 蘭の香りに包まれて、二人は再会するが…」
 「怪談・72」からの再録です。
 アール・ヌーボー調のタイトル表紙が美しい!!
「怪談」シリーズのタイトル表紙だけを集めて、画集を出版できるのではないでしょうか?

・山上たつひこ「瘤(こぶ)」
「砂漠を横断する車。車内には医者と青年の二人。
 二人は砂漠の真ん中で、車が故障した男に会う。
 二人は男を車に乗せるが、男は逃亡中の強盗犯だった。
 医者は銃を奪おうとして射殺され、青年は砂漠に置き去りにされてしまう。
 証人を消して、安心する強盗犯だが…」

・岩井しげお「ドラゴ」
「子供達の間に「ドラゴ」という人形のブームが起きる。
 この人形は意志力で動かすというもので、純真な心を持つ子供にしか扱えない。
「ドラゴ」ブームは大人達の間にも広がるが、その陰である陰謀が進行していた…」
 面白いです。
 恐らく、原作があるのでしょうが、ベテランの岩井しげお先生はきっちりまとまった、読みやすい作品にしております。
 この時代のSF怪奇ものというと、関すすむ先生のようなデタラメかました作品の印象が強いので、こういう「まとも」な作品を読むと、好感が持てます。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。pp103・104、下部に裂けと折れあり。

2014年12月28日・2015年1月1日 ページ作成・執筆
2018年5月23日 加筆訂正

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