大石まどか「黒百合は狂い咲く」(220円)
「大偏屈な小説家、浅嶋北南。
彼は、妻を事故で亡くして以来、独身を通していた。
ある日、彼の家に、彼の大ファンを名乗る娘が押しかけてくる。
彼女の名は「千田ひろみ」といい、唯一の家族だった母親の死をきっかけに、北海道から出てきたという。
ただし、彼女は捨子で、出生については全くわからない。
北南は彼女を追い出そうとするが、何を言っても、全く糠に釘。
天涯孤独の身というので、仕方なく彼女を家に置くこととなる。
ひろみは彼に甲斐甲斐しく尽くすものの、彼女の面影や、趣味の人形作りや三味線といったものが、北南の精神を徐々に乱していく。
友人の勧めもあり、北南は伊豆に旅行に出るが、導かれるように、彼の忌まわしい過去と直面することとなる。
彼の過去と、ひとみとの関係は…?」
ストーリーは面白いのですが、相変わらず、説明不足な点が目立ち、ラストもわかりにくいです。
まあ、一種の「幽霊譚」と考えても大丈夫ではないでしょうか。
ただ、主人公が、罪を犯していたとは言え、情状酌量の余地は多分にありますので、そこがスッキリしないところではあります。
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。上部に水濡れの痕あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と鉛筆の書き込みあり。
2020年3月1日 ページ作成・執筆