池川伸治「黒バラ双生児」(220円/1965年8月17日完成)
「エミとユミは双子の姉妹。
しかし、母親は難産のショックで、少し頭がおかしくなり、ユミばかりを可愛がる。
おまけに、石の研究家として知られる父親は、石しか愛さず、家族のことに全く関心を示さない。
召使い達はエミを不憫に思うが、両親のキチガイぶりにさじを投げ、次々と去っていく。
そんなある日、ユミが行方不明となる。
五日経っても、ユミの行方はわからず、母親は逆上。
彼女は、ただ一人のエミの味方だった姉やを首にして、自白させるため、エミを縄で宙吊りにする。
そこへ、親戚の君子とその弟が訪ねて来て、エミを救出。
だが、母親は病状が悪化し、病院送りとなる。
君子はエミに自分の家に来るように誘うが、父親のことがあるため、夏休みが終わるまで、君子達は、エミの家に滞在することにする。
ある日、禿頭の、人相の悪い男が館にやって来る。
男は新しい召使いだと名乗るが、神出鬼没で、全く得体が知れない。
その男の来た翌日、庭の花壇に黒いバラが咲く。
そのバラはひどい臭いを発し、臭いをかいだエミは卒倒。
以来、夜になると、エミは夢遊状態で外に出かけるようになるのだが…」
後記によると、1961年頃に描かれた「消えた少女」(未見)のセルフ・リメイクとのことです。
そのためか、物語に大きな破綻はなく、そこそこ面白いです。
でも、やはり、石しか愛さない父親とかエキセントリックなキャラが捩じ込まれていて、つくづく「池川作品」です。
他にも、この作品には二つ見どころがあります。
一つ目は「カラカポン」(未見)の次回予告。
「カラカポン」は、イヌダハジメ氏(aka キクタヒロシ氏)の同人誌「怪奇!貸本マンガ・マニアクス」(2011年5月5日発行)にてちょびっと紹介された作品で、実は「ギロチンの音」を表したタイトルらしいです。
でも、次回予告では、奇妙な足音の話とされており、どこをど〜やったら、これが「ギロチンの音」の話になるのか、今となっては解けない謎です。
もう一つは、背表紙で「ひばり書房」と表示されているのに、裏表紙は「つばめ出版」になっていること。(画像が見にくくて、申し訳ないです。)
怪奇マンガ・マニアの方々には周知のことでしょうが、「ひばり書房」と「つばめ出版」は同じ出版社です。(税金対策?)
だからって、こんなところでミスするかな〜。
いやはや、ひばり書房らしい話であります。(コレばっかり)
・備考
ビニールカバー貼り付け、また、そのための歪みあり。読み癖ひどし。シミ、切れ、破れ、多し。pp3・4、下部に大きな裂けあり。後ろの遊び紙に店のスタンプあり。
2017年12月11日 ページ作成・執筆