杉戸光史「夢と火取虫」(220円)

「母を交通事故で亡くして三か月、岡田夢子と父親は東京を離れ、自然に溢れた西洋館に居を移す。
 自然の美しさに夢子は魅せられるが、森の中で殺されたばかりの猫の死体を発見する。
 そして、どこかから彼女を窺う、何者かの視線も強く感じるのであった。
 翌日、転入した学校では、東京出身で美人の夢子は瞬く間に人気者となる。
 また、クリーニング屋の息子、川辺ともあるきっかけから仲良くなる。
 だが、移り住んだ西洋館のことを話すと、皆、顔色を変える。
 川辺によると、西洋館の持ち主は極端な猫嫌いで、かなりの猫を殺していた。
 殺した猫の呪いによるものか、持ち主は交通事故で亡くなり、以来、館に近づく猫は持ち主の怨念により殺されてしまうと噂されていた。
 夢子は川辺を伴って西洋館に帰るが、庭で目をくり抜かれた猫の死体を発見する。
 気絶した夢子が晩方に目を覚ますと、古田という少年からラブレターが届いていた。
 夜の八時に会いたいとの旨が書かれていたが、夢子は明日手紙を返そうと、再びベッドに入る。
 その夜、夢子が眠りに就いた頃、彼女の部屋に忍び込む、謎の少女の姿があった。
 そして、起こる殺人…。
 猫殺しの犯人は誰なのであろうか…?」

 まず、タイトルに偽りありです。
 内容とタイトルの「夢と火取虫」は全く関係がありません。(何らかの暗示なのかも…?)
 ストーリーもかなりの強引さで、一応の辻褄は合わせておりますが、誰も納得しないような出来映えです。
 また、ラストも「実は夢遊病者で、殺人を犯したことを知ったヒロインが入水自殺を図ると、父親が見殺しにする」というもので、違和感のみが募っていきます。
 ぶっちゃけ、失敗作でありましょう。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。前後の見返しのノドに紙テープによる補強あり。食べカスが挟まってできたシミや剥がれ、幾つかあり。pp59・60、コマ外に小さな穴。pp121・122、pp129・130、コマ内に小さな穴。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2018年3月1日 ページ作成・執筆

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