さがみゆき「呪いの星があざ笑う」(220円)
「加津子はある夜、燃える火の玉が空から落ちてくるのを目撃する。
火の玉の落ちた森は怪しく光り、加津子の父親は様子を見に行く。
翌日、加津子が起き出してくると、加津子の両親は頭に包帯をしていた。
二人で散歩をしている時に転んだという割には、妙に嬉しそうで、加津子は違和感を抱く。
そして、父親は近々社長になり、母親の夢も近いうちに叶うと話す。
両親は加津子の願い事を尋ね、今度いい所に連れて行こうと言うのだった。
その夜は雨が降り、外出はかなわない。
眠りに就いていた加津子は、夜中、唸り声で目を覚ます。
様子を見に行くと、両親の顔中にお経の文字が浮き出ていた。
驚いて、加津子は寝室でまんじりともせずに一夜を明かすが、朝、何事もなかったように両親は振る舞っていた。
加津子は両親がおかしくなったのは、あの流星のあった夜からだと考える。
加津子は男友達のひろしに相談するのだが、ひろしの妹も頭に包帯を巻くようになっていた。
町の人々はどんどん頭に包帯を巻いているようになり、遂には加津子とひろしだけになってしまう。
真相を確かめるたみに、二人は町の人々と森に出かけるのだが、そこで二人が見たものは…?」
そのスジでは、「法一教」でちょっぴり有名な作品です。
が、結末がイマイチかつ意味不明で、あまりに期待して読むと、肩透かしをくうかも。
ちなみに、個人的に最も感銘を受けたのは、右の画像のページであります。
夜の森の中に響く琵琶の音を描写しているのですが、擬音語が「ビロ〜〜ン ビビビ〜〜イ〜ロ〜〜ン」であります。
描写に頭を捻った様子は(水木一郎「バロム・ワン」風に)ビロロロロロ〜ンと伝わってくるのですが、さがみゆき先生ごめんなさい!!、何度見ても笑ってしまいます。
しかし、新田五郎氏が言うように「聴覚に訴えるものを視覚的に表現するという矛盾が、マンガで音楽を扱うときについてまわる」のであります。(注1)
ここは琵琶の不気味な音色をどうにか表現しようとした、さがみゆき先生の努力に敬意を表したいと思います。
と言った後で、こういうのもなんですが、さがみゆき先生の青春マンガ「青春の夢ある限り」(曙出版)に出てくる、ビート酒場でエレキ・ギターが「ビビ〜ン ビロビロ〜ン」と唸りを上げておりました。(ドラムは「ズンタタンタ トントン」。)
こういうのを見ると、何故か「恐怖の人間カラオケ」の『サウスポー』が脳内再生されてしまうのです…。
・注1
唐沢俊一・編 と学会+α「トンデモ音楽の世界」(小学館/2008年7月1日初版第一刷発行)の中の「マンガの中のヘンな歌」(p70)より引用させていただきました。
・備考
カバーの背表紙痛みかつ色褪せ、また上部に「15」のサインペンによる書き込みあり。他には経年の痛みやシミはあるものの、非貸本故、まあまあの状態。
平成27年11月21日 ページ作成・執筆