杉戸光史「赤目のたたり」(220円/1964年~1965年頃)

「冬休み、京子は、母親の勧めで、秩父にある、母親の祖父の家を訪れる。
 ある日、湖のほとりで、いとこ(作中に説明がないので推測)の谷俊彦と楽しく過ごしていると、犬のジョンが激しく吠え出す。
 すると、藪の中から片目の赤い白蛇が現れ、犬はその蛇を追い、森の中へ駆けていく。
 京子と俊彦が犬を探していると、森の中で、壷を抱いた、片目の老婆と出会う。
 老婆は二人に、白蛇様の祟りを避けるため、二度とこの森に入らないよう忠告する。
 しかも、老婆の持っている壷の中には、カエルの死骸がたくさん入っていた。
 老婆が立ち去った後、犬が二人のもとに戻ってくるが、力尽きたようにころりと死んでしまう。
 犬は、人の形をした抜け殻のようなものをくわえていた。
 二人がその抜け殻を怪しんでいると、雑木の茂みから何者かが抜け殻をこっそり持ち去ろうとする。
 京子が抜け殻を引っ張ると、茂みの中から、目が真っ赤に充血した、うろこ肌の顔が現れ、二人が驚いた隙に、それは逃げ去ってしまう。
 京子と俊彦は、祖父に、半分にちぎれた抜け殻を見せると、祖父は子供の頃に耳にした伝説を語り始める。
 約二百年前の宝暦年間(1751年~1764年)、京子が遊びに行った湖には白蛇の神様が棲んでいると伝えられていた。
 ある侍がそれを迷信と鼻で笑い、湖を訪れ、湖面に向かって矢を放つ。
 すると、片目に矢の刺さった、巨大な白蛇が水面から現れ、侍の一族を今日から七代末まで祟ると告げる。
 侍は石碑をつくって、白蛇を祀るものの、小さな娘が徐々に蛇女と化していく。
 娘を殺そうとするが、どこからか現れた、片目が赤い白蛇によって、全て失敗。
 遂には、侍は気が狂って、屋敷に火を放ち、一族は絶滅したのであった。
 ただし、蛇娘とその娘を可愛がっていた姉の死体は見つからず、祖父は、老婆やうろこ肌の怪物がこの侍の子孫ではないかと推測する。
 ところが、京子は迷信だと切り捨て、俊彦と共に、本当に白蛇の祟りによるものかどうか確かめることを決心する。
 翌日、京子と俊彦は、森の中で老婆と見なれない少女を見かけ、二人の後をつける。
 老婆と少女は森の奥にある、荒れ果てた西洋館に入っていくが、そこで京子は恐ろしい体験をするのであった…」

 黒枠単行本にて丸ごと再録されております。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。糸綴じあり。読み癖が猛烈にあり(シミ、汚れ、切れだらけ)。pp63・64、下部にコマにかかる欠損あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2022年5月22日 ページ作成・執筆

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