杉戸光史「死面が三つ」(240円/1969年5月26日完成)
「田代小百合が夏のキャンプで、夜間、行方不明になって一か月。
海に転落したものと、生存は絶望視されていた。
小百合の恋人だった川本哲雄は小百合の死を受け入れることができず、心が晴れない。
これを機会に、桜田京子が哲雄にアタックしてみても、効果は薄い様子。
ある日、哲雄のクラスに、藤山節子という女生徒が転校してくるが、彼女は田代小百合にそっくりであった。
しかも、小百合が行方不明になったキャンプ地のある町からやって来たのだと言う。
放課後、節子に興味を持った、哲雄と京子は彼女の後をつけるが、小さな神社のお堂の所で忽然と姿を消してしまう。
哲雄と京子が辺りを見回しているところへ、お堂の中から神主が現れる。
神主は、京子に「おそろしいうらみをだいた死霊」に憑りつかれていると指摘して、懺悔して、罪滅ぼしをしないと祟りを受けると言う。
そして、その死霊を祓えるのは、自分以外にいないと話しながら、その場を立ち去るのであった。
この日以来、京子の周囲で、恐ろしいポルターガイスト現象が起きるようになり、京子はどんどん憔悴していく。
哲雄が京子の見舞いに訪れた帰り、哲雄は急病で休んでいるはずの節子の姿を見かける。
節子の正体を見極めようと、またもや彼女の後を追うが、彼女は墓場に駆け込むと、また姿を消す。
そこには、田代小百合の卒塔婆は立っていたのだった。
藤原節子、そして、京子に憑りつく悪霊の正体とは…?」
冒頭に出てくる奇怪な家族が、物語のミソなのですが、まさかこう来るとは思いもよりませんでした。
杉戸光史先生には、SF的要素をデタラメかまして使っている作品が多く、唖然とするものが多いものの、これはまあまあかも…(人によって判断は異なります)。
ちなみに、右側の画像は、カバーを外した本体の表紙のイラストなのですが、こんなシーンは全くありません。
最後に、電柱の張り紙(p107)に「週刊たいよう 杉戸光史!! ついに婚約か」と書かれております。
婚約に至ったのかどうかは知りませんが、何か微笑ましいですね。
・備考
ビニールカバー剥がしのために、カバーに剥げや痛みがひどし。糸綴じ穴あり。後ろの遊び紙に貸出票貼り付け、また、鉛筆による数字の記入あり。
2016年1月15日 ページ作成・執筆