杉戸光史「人形は生きていた」(220円)


「斉藤高一と船橋奈津江は学園一の美男美女のカップル。
 最近、奈津江の元気がなく、高一は心配で仕方がない。
 放課後、高一は奈津江からその原因を聞かされる。
 二十日の間、奈津江は、黒覆面に黒タイツの人物から拷問を受ける夢を見続けていたのである。
 しかも、夢はどんどん現実味を増していき、夢の中で受けた拷問の痛みが身体に残るようになっていた。
 奈津江は誰かに呪いをかけられていると考え、二十一日の満願の日に自分は死ぬのではないかと怯える。
 次の夜、高一は、奈津江の母と共に、寝室で休む奈津江を見張る。
 もうすぐで零時という時、高一がトイレに立つと、廊下の窓から人物の影のようなものが奈津江の寝室に通り抜けるのを目撃する。
 同時に、母親の悲鳴が聞こえ、高一が駆けつけると、奈津江はベッドでこと切れていた。
 奈津江の死後、高一は彼女の死について考えを巡らすが、いくら考えても、答えは得られない。
 そんなある日、彼は奈津江とそっくりな少女を目にする。
 彼女を追いかけるが、何かを埋めた跡があるところで、その姿を見失う。
 そこへちょうど居合わせた新井万里子と出会い、それがきっかけで二人の仲は深まる。
 だが、奈津江を死に追いやったのは、当の万里子であった。
 彼女は、高一を奪うために、呪いの人形師、菅野十兵衛の協力を得て、奈津江の人形に虐待を加えていたのである。
 高一と仲良くなり、ほくそ笑む万里子であったが、クラスに、奈津江と瓜二つの、水森ユキという少女が転入してくる。
 以来、彼らの周囲では奇妙な出来事が続発。
 そして、恐ろしい夢を見始めた万里子は、自分が何者かに呪いをかけられていることを察し、十兵衛に助けを求めるのだが…」

 ストーリーはまあまあ面白いのですが、結末が釈然としません。
 あれこれ説明はしておりますが、でもこれはちょっと…。(これってハッピーエンドなの?)
 あと、傑作「妖奇の首塚」と同じく、「高笑いしたり、話したりする生首」の描写があります。
 お気に入りだったんでしょうか?

・備考
 ビニール―カバー貼り付け。本文、小口に「名古屋マンガ図書館」のスタンプ、多々押印。前後の見開きと遊び紙の間に肌色の紙が貼り付け。糸綴じの穴あり。

2017年9月15日 ページ作成・執筆

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