杉戸光史「夢美人花占い?」(220円/1967年7月13日頃完成)
「ある夜、資産家の娘、絵里加の乗った車が青年をはねる。
絵里加は青年を家に連れ帰り、手厚く介護する。
彼女は彼に恋をするが、彼は、指名手配中の爆弾魔、西新井次郎であった。
彼の恋人、ゆり子は轢き逃げされ、金がないためにろくな治療を受けられず、死亡。
それを恨みに持ち、次郎は世の中に復讐するためにあちこちで爆弾騒動を起こしていたのである。
警察に通報されたと勘違いをした次郎は邸から逃亡、絵里加の家族を逆恨みする。
一方の絵里加は、彼が爆弾魔と知ってからも、彼を慕い続ける。
ある夜、流れ星を見た絵里加は父親と共に、それが落ちた場所に向かう。
そこには、見知らぬ美しい女性がおり、絵里加の名を知っていた。
どうやら彼女は絵里加の「同志」であり、絵里加には「地上に来た使命」があるらしいが、絵里加には彼女の言うことがさっぱり理解できない。
女性は、自分の言う意味を知りたければ、日光にある別荘に行くよう告げ、閃光と共に姿を消す。
途方に暮れた絵里加と父親が居間で思いに浸っていると、爆弾を持った次郎が居間に押し入る。
だが、絵里加が亡き恋人のゆり子とそっくりなのに驚き、ダイナマイトを手から落としてしまう。
とっさに絵里加が次郎をかばおうとした瞬間、ダイナマイトが炸裂、二人は爆発に巻き込まれる。
だが、その場からは二人の姿は消え、絵里加が意識を取り戻した時、二人は日光の別荘にいた…」
前編の「夢美人花占い?」と後編の「白い墓骨乙女?」との二部構成になっております。
詳細は「白い墓骨乙女?」の稿に譲ります。
とりあえずは、気になったのは、章のタイトルの付け方。
「夢と花と爆発と…」とか「恋と絵里加と爆発魔」とか、「乙女チック」と「過激派」の乱暴な混淆がなかなかにアバンギャルドです。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー痛み、かつ、貼り付け。背表紙色褪せ。糸綴じあり。読み癖あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2018年3月11日 ページ作成・執筆