杉戸光史「怪談火喰い花」(220円)
「島本英男と彼の親友、山田三郎は、ある夜、中年の男性に追われていた女性を助けたことで、彼女と知り合いになる。
その女性の名は松野華子といい、非常に美しい娘であった。
彼女と再会した二人は、英男の恋人である岸波ユミと共に、彼女の家に招待される。
それは、森の中にある古びた西洋館であり、医者である父親の研究室には非常に珍しく奇妙な植物がたくさん育てられていた。
彼らは薬棚の中の、血のような液体の入った瓶に目をとめる。
華子は、南米産の新種の植物、火喰い花のエキスだと説明するが、妙な歯切れの悪さに英男は疑念を抱く。
彼らが華子の家からの帰宅途中、華子が彼らを追って、数日後にある、自分の誕生パーティに来てくれるよう誘われる。
華子にぞっこんの三郎は二つ返事で約束するが、英男はユミのやきもちによって、参加できない。
その誕生パーティの当日、英男とユミは洞窟内の池で、パーティの席にいるはずの華子の姿を目にする。
しかも、彼女は池に骨を一つ一つ投げ入れていた。
英男達からパーティのことを聞いた華子は血相を変えて、その場から立ち去る。
そして、その日以来、三郎は行方不明となるのであった。
華子の屋敷で育てられている火喰い花の正体とは…?」
ネタばれですが、テーマは「人喰い花」です。
ゲームなどでは「パックンフラワー」をはじめ、お馴染みでありますが、マンガの中では扱っている作品はあまり多くないような気がします。
個人的に思いつくのは、いばら美喜先生の「黒い花」、坂上康夫先生の「黒姫地獄花」、岩浪成芳先生の「水の中の生物」(注1)といったあたりでしょうか。
まあ、その中でも、杉戸光史先生の「怪談火喰い花」は、「人喰い花」に対する私のイメージとかなり共鳴するところがあり、新鮮でありました。
むやみやたらとでかいし、口には牙があるし、何か知らんけど、タコの触手みたいなもん、伸ばしてるし…これぞ「人喰い花」って感じ、しませんか?(しなかったら、ごめんなさいね。)
ただ、一つ残念なことは、ラストに遂にその正体を現すのはいいのですが、大暴れする間もなく、あっさりやられてしまうのが、残念…。
もっと大暴れさせろよ〜!!
・注1
「水の中の生物」は「土曜漫画 九月二十五日号」(1970年/土曜出版社)収録。(どんな感じか、右の画像を参照のこと)
謎の漫画家、岩浪成芳先生もいつか作品をまとめて紹介したいと考えております。
私にその時間が残されていればの話ですが…。
・備考
カバー痛みひどし、折れや破れや欠損あり。背表紙色褪せ。pp61〜64、コマ内に小さな裂けあり。カバー袖がセロハンテープで本体に貼り付け。
2017年3月1日 ページ作成・執筆