太田康介「ガラスの焦点」(150円)



「牧バレー団による東京劇場での「白鳥の死」の公演。
 人気スター、白鳥弓子が主演を務めるというので、その前夜祭は大賑わいであった
 だが、白鳥弓子の前に眼鏡で禿頭の老人がチンピラ二人を連れて現れ、彼女の秘密を五百万円で買うよう強請る。
 弓子のファンの強(つよし)は老人を追っ払うが、老人は弓子にアルコールを飲まないよう警告する。
 強は弓子に事情を聞くも、彼女は老人とは初対面で、また、彼女はアルコールにアレルギーを持っていた。
 しかし、パーティの最中、弓子はアルコールをほんの少し飲んでしまう。
 すると、顔や体に幾つもの傷痕が現れ、彼女はパーティ会場からとび出す。
 間違いがあってはならないと、皆で手分けをして捜していると、劇団の森カヨ子という娘がある部屋で弓子の死体を発見する。
 死体の首の後ろにはハサミが突き刺さっており、カヨは弓子を殺した犯人と間違われ、劇場から逃げ出す。
 そんな彼女を助けたのが、先程の老人であった。
 老人は強に電話をかけ、彼女と一緒に警察に行くよう勧める。
 だが、当の彼女は彼女の後援者である寺田と出会い、心変わりをして、S海岸にある彼の別荘を訪れる。
 一方の強はカヨにすっぽかされ、腐っていると、牧バレー団の女団長の牧を見かける。
 彼女はあの老人と会い、S海岸へと向かうが、途中、車は事故を起こし、二人とも行方不明となる。
 強は老人の遺品から恐ろしい事実を知るのだが…。
 そして、カヨを悩ませる、白鳥弓子の幽霊の正体は…?」

 表紙に「本格推理漫画」と書かれておりますが、そこまで「本格」でもないです。
 荒唐無稽なストーリーにご都合主義な展開…と、まあ、貸本マンガらしい内容です。
 それだけならば、こんなへっぽこサイトで紹介する必要はないのですが、「顔のない眼」に影響を受けているため、怪奇色は濃いめです。
 ハサミの突き刺さった死体の描写はかなり凄惨で、また、ラストのガラスの彫刻でいっぱいのボートのシーンは迫力満点です。
 ちなみに、この作品には当時には(多分)珍しいシャワー・シーンがあります。(右端の画像を参照のこと)
 露骨に服(バスタオル?)のまま、シャワーを浴びていて、ちょっと笑っちゃいました。

・備考
 ビニールカバーの剥がし痕あり。カバー痛み。糸綴じあり。

2025年2月4日 ページ作成・執筆

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