池川伸治「ひのえうまの母」(220円/1967年7月28日完成)

「みきの家で、老婆が住み込みのお手伝いとして働くようになる。
 老婆は働き者でユーモアもあり、家族の受けもよい。  また、老婆はアコという少女を連れており、非常に無口な娘であったが、みきが優しく接するうちに、心を開くようになる。
 しかし、老婆が家にやって来てから、みきの身辺でおかしなことが次々と起こる。
 どうも母親が陰で糸を引いているらしく、京子は母親に不信感を募らせていく。
 そんな時、親友の京子がみきを訪ねる。
 話を聞くと、京子の家でも、同じようなことになっていた。
 実は、みきの母親は丙午(ひのえうま)の研究家であり、丙午にあたる去年(1966年)、京子の母親と共に、その迷信が正しいと説きまわっていた。
 みきと京子の母親がおかしくなったのは、丙午のせいなのであろうか…?
 そして、お手伝いとして来た老婆の正体とは…?」

 今は信じている人はほとんどいないでしょうが、「丙午(ひのえうま)年の女性は気性が激しく、夫の命を縮める」という迷信があります。
 1966年が丙午にあたっておりますので、池川伸治先生は、今まで多くの女性を不幸に追いやった、この迷信を断罪すべく、この作品を描いたのでしょう。
 ネタばれですが、ストーリーは「明治39年(1906年/丙午)産まれの老婆達が結託して、迷信屋とその一家を惨殺する」という、かなりストレートなもので、池川伸治先生の憤りが目に見えるようです。
 ただし、相変わらず、そっちの方にばかり注意が行ってしまって、作品の構成はかなりヒドイです。
 特に、オープニングの殺人シーンは全く意味がなく、ストーリーを混乱させるだけという有様。
 着眼点は面白いので、全体的に読みやすかったら、それなりの佳作になったと思うのですが…残念。
 あと、途中に、えのせかずお先生の4ページのショート「海の精」という作品が挿入されております。

・備考
 カバー欠。本体表紙に「15」と赤いサインペンで書き込み。小口にシミ。

2018年4月9日 ページ作成・執筆

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