池川伸治「継子いじめ物語」(220円)
「ゆき子と真理の姉妹は母親を八年前に亡くしていた。
父親は再婚を決意し、継母となる女性とその連れ子、美紀子を家に連れてくる。
父親とゆき子は二人を温かく迎えるが、真理だけは継母と美紀子に対して愛想がない。
そんな真理のかたくなな態度もそのうちに消え、一家は仲良く、いろいろなところに出かけて楽しく過ごす。
時は流れ、夏休みを目前にした頃、一家は海辺の別荘に行く話が出る。
その中で、継母だけは暗い顔で別荘行きを断る。
しかし、父親や美紀子に勧められ、しぶしぶ別荘へ出かけることとなる。
別荘は、海を臨む、小高い丘の上にあり、姉妹の母親の墓があった。
そこに着いてから、ゆき子と真理はある計画をひそかに実行に移す。
姉妹の目的とは、亡くなった母親の復讐であった。
継母の秘密とは…?」
復讐譚なのでありますが、継母の過去に対する説明がほとんどなく、いまいちカタルシスに欠けます。
復讐方法も凝っているわりに描写があっさりしていて、ちと残念。(催眠術っていうのもなんか安直…。)
池川伸治先生の作品の中では、最も「印象に残らない」部類に入るのではないでしょうか。
個人的には、ストーリーよりも、ストーリーの最中に捩じ込まれるファッション・ショーの描写の方が印象に残ります。
ファッション・ショーと題しながらも、ヘンテコな恰好ばかりしておりまして、その中でも「ライフル魔スタイル」っていうのが、ちょっと…。
作者としては社会風刺を狙ったのかもしれませんが、どこかピントがずれているのが、「太陽プロ」仕様ですね。
あと、本編の途中、「ひまわりの会」優秀作品として、熊本泰一氏「春の雨の日に」という、4ページの短編が掲載されてます。
ストーリーは、ある男が女性と出会い、最後にフラれて、身投げをするだけの話です。
・備考
ビニール・カバー貼り付け。本文、目立つシミ、多数あり。前の遊び紙とタイトル・ページの一部が貼り付き。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。
2017年4月29日 ページ作成・執筆