杉戸光史「私を殺す銀の糸」(220円)



「三つの部落のある世界。
 ヒロインである近藤カコの住む、南の部落。西の部落。そして、鬼婆の住む、北の部落。
 この三つの部落民は長い間、「ある一つの物」を争ってきた。
 「ある一つの物」は「ハニー」と呼ばれるもので、それを握っているのは、北の部落に住む鬼婆の一族であった。
 カコの属する南の部落の住民は力が弱く、北の部落にある鬼婆の館に忍び込むのも命がけ。
 鬼婆の一族は「銀の糸」を駆使し、忍び込んだものを捕らえては、餌食にしていた。
 ある日、親友を鬼婆に殺されたカコは、鬼婆の孫娘に襲われる。
 それを助けたのは、西の部落民である大内八郎であった。
 カコと八郎は部落の壁を超えて、恋心を互いに抱く。
 そこへ、嵐が襲来。
 南と西の部落は花が全て吹き荒らされ、窮乏に陥る。
 「ハニー」目当てに鬼婆の館に忍び込んだ、南の部落民が次々と殺されていく中、カコの弟、タケシも鬼婆の館に「ハニー」を取りに行ってしまう。
 父兄がタケシを助けに行くが、その二人も帰って来ず、カコは一人、鬼婆の館を訪れるのだが…」

 粗筋を読むと、皆さんお気づきでしょうが、「擬人化」なのであります。
 方法としては、同じ太陽プロの先輩、松下哲也先生の「屋根裏に光る眼」と一緒ですので、影響を受けたのでしょう。
 ネタバレですが、説明しておきますと、南の部落は「蝶」、西の部落は「蜂」、北の部落は「蜘蛛」を表しております。
 ただ、描写がどこか不器用な感じで、ぎこちない印象のある作品のように思います。

・備考
 ビニールカバー貼り付け、また、紙か何かが貼りついて、剥がし痕が付着。

2016年9月18日 ページ作成・執筆

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