松下哲也「車井戸は夜軋る」(1964年夏頃?/200円)
「松下哲也先生(黒覆面に赤い背広のマスクマン)は取材のために、番町皿屋敷を訪ねる。
問題の井戸は木蓋がしてあり、その側にはお菊地蔵がある。
そこには今もなお青山家の子孫が住んでいたが、過去のことを穿鑿されることにいい顔をしない。
しかし、青山家の一人息子で、レーサーの数馬は、松下哲也先生を歓迎して、二人でお菊の幽霊が出ると言われる青山家の墓所を訪ねることになる。
すると、少女が青山家の墓をお参りしていた。墓に手向けられていた花は、菊。
少女は二人の前から逃げ出し、数馬は少女の後を追うが、少女は忽然と姿を消してしまう。
程なくして、同じ少女が青山家を訪れ、女中として雇って欲しいと家人に頼み込む。
数馬の母は断るが、少女と再会した数馬は強引に少女を屋敷に雇い入れる。
が、その夜から、青山家の人々は奇妙な体験をするようになる。
少女は一体何者なのだろうか…?」
こう言ってはなんですが、面白みのある話ではありません。
大きな原因は、主人公の青山数馬でしょう。
家が破産寸前なのに、わがまま放題。挙句の果てには、やけっぱちになって、荒れまくり。
と、ここまでは、映画や漫画なんかでもよくある展開です。
ただ、大荒れの末、乱暴運転で怪我させた犬を、バックでわざわざ轢き殺そうとする描写(実はよくわからない)は、不快です。
この点で、主人公にちっとも感情移入できなくなってしまったので、個人的に「駄作」です。
・備考
ビニールカバー貼り付け。後ろの遊び紙、張り付き。pp22・23、青ボールペンによる落書き(皿に番号と、女性にメガネの落書き)。
平成27年7月20日 ページ作成・執筆