大石まどか「狂った不死鳥」(220円/1966年頃?)



「千原マリは、フジ自動車の社長である千原銀二の娘。
 彼女はアメリカに留学をしていたが、「スグカエレ」との電報を受け取り、二年ぶりに日本に戻ってくる。
 だが、空港には誰も迎えに来ていない。
 それどころか、麻薬の運び屋だった、死んだ娘とそっくりだったため、暴力団に拉致されてしまう。
 疑いは晴れたものの、ただで帰してもらえそうになかったところを、団員の一人、並木竜二に助けられる。
 並木竜二は、彼女が幼い頃、千原家に滞在しており、千原家の秘密をマリに暴露する。
 今の母親はマリの実の母親でなく、千原家の女中であった。
 そして、本当の母親は貴久子という女性は、一応は自殺になっているが、彼女の死後、マリの父親は、大学での医薬の研究から身を引いてしまったのだと言う。
 マリは家へと帰るものの、銀二の話を聞いた後では、全てが疑わしく思えて仕方がない。
 誰も打った覚えがないという電報のこと。
 二十年間、行方不明だったという、画家で変わり者の、母親の弟、右一。
 彼女が二歳の頃の、父親の日記に記された「秘密」。
 そして、父親の夢遊病…といった風に、マリの周囲では、おかしなことばかり。
 ある時、竜二は、マリに父親の「秘密」を明かすのだが…」

 程よくまとまったサスペンスで、悪くない出来です。
 夢遊病でプールに銃を乱射する父親や、頭のおかしい画家といったキャラがいい塩梅でアクセントになっております。
 ただ、タイトルの「狂った不死鳥」は、内容と全く関係がないなあ…。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。上部に水濡れの痕あり。カバーの袖をセロテープで留めたため、見返しにテープ痕あり。後ろの遊び紙に、貸本店のスタンプあり。

2020年2月14日 ページ作成・執筆

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