山下よしお「泥にまみれた葬送曲」(220円)



「京太郎は、奥多摩湖を訪れる。
 ここでは、三か月前、飛行機事故があり、彼は湖畔で、犠牲者の冥福を祈る。
 すると、膝元に奇妙な形の石があり、好奇心を起こして、持ち帰る。
 夕方、帰る途中の山道で、彼は、左手のない娘と出会う。
 娘は、町とは逆方向に向かい、後をつけると、奥多摩湖の岸で何かを探していた。
 夜、京太郎が旅館で、拾った石を取り出すと、それは自ら寄り集まり、手の骨となる。
 更に、その骨は京太郎の胸元を掴んで、離れなくなる。
 実家に帰った後も、骨は離れず、悩む彼の前に、佐江子と名乗る霊感少女が現れる。
 彼女は、彼の悩みを解決するために、彼を玉川上水へ案内する。
 そこには、立派な邸があり、奥多摩湖で会った少女が住んでいた。
 邸は彼女と主人の二人きりで、彼女は小間使いをしているらしい。
 京太郎と少女が話していると、彼の胸の手の骨が、少女の手首へ移ると、骨は普通の手と変わる。
 彼は少女に佐江子のことについて話すと、少女も佐江子のことを知っているらしい。
 とりあえず、悩みが解決した京太郎は、佐江子と仲良くなっていく。
 だが、ある日、突然、彼の胸に手の骨が戻ってくる。
 彼はもう一度、あの少女と会うのだが…。
 少女の正体とは…?
 そして、少女と佐江子の関係とは…?」

 山下よしお先生は、ひばり書房の「怪談」シリーズで活躍された、B級作家さんです。(注1)
 恐らく、一番有名な作品は「幻色日本怪奇漫画図鑑九十九殺」(ソフトマジック/2002年10月4日発行)で紹介された「紅グモの悲鳴」でしょう。
 ですが、内容的には、「泥にまみれた葬送曲」の方が遥かに異様です。
 一応、粗筋を紹介はしましたが、ストーリーはかなりカオスで、一読しただけではストーリーを把握するのは困難だと思います。
 まあ、「死人の恋」をテーマにしているのでしょうが、いちいち展開が唐突で、頭が混乱するのは必至。
 でも、こんなマンガ、今では存在しないでしょうから、読んだら喜ぶ人がいるかもしれません。(ちなみに、私はかなり好きです。)

 あと、今、気が付いたのですが、カバーのイラストは、関すすむ先生かな?



・注1
 ひばり書房の「怪談」シリーズは、小島剛夕先生、古賀新一先生、浜慎二先生…といった一流作家を看板にしておりますが、最近、その陰に隠れたB級作家の方が気になって仕方ありません。
 兎月書房のB面作家、陽気幽平先生に血道をあげる方々の気持ちがちょっぴりわかるようなレベルになった…のか?

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバーの若干の痛み以外、かなり綺麗。

2019年12月28日 ページ作成・執筆

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