杉戸光史「妖しき死花」(240円/1968年初め)
「ある雪山の村。
丈(たけし)は、いとこの佐藤雪子を訪ねる。
雪子の家庭は複雑で、父親は名家の出であったが、破産し、巻き返しのために、家を出る。
こういう事情から、兄の勇も家出をして行方不明、母親は心労で倒れ、最近、ようやく回復したのであった。
丈と雪子が家に向かう途中、二人は雪崩に巻き込まれた凍死者を発見する。
雪子によると、この雪山には、雪女が住んでおり、何人もの人々が亡くなっているという。
その夜、丈は雪女らしい白い着物を着た娘を見かけ、追いかける。
すると、銃声が聞こえ、その方へ向かうと、勇が、二人の男に追われていた。
傷ついた勇は雪子にある袋を託すが、その中身はダイヤモンドであった。
その後、勇は崖から転落。
彼が目を覚ますと、洞窟の中で、雪女らしい娘から手当てを受けていた。
彼女は小雪という名で、どうも江戸時代の人間らしい。
彼女の話によると、代官の息子とムリヤリ結婚させられそうになったため、許嫁の坂本丈太郎と駆け落ちすべく、この洞窟に身を潜めていたところ、いつの間にか季節が夏から冬へと変わり、景色も全く知らないものに変わっていたという。
一方、村の庄屋は、雪子の父親が借金の担保にした山が鉱山であることを知る。
しかし、雪子の父親は事業に成功し、このままでは、山を手に入れることができない。
そこで、庄屋は陰謀を企てるのだが、その前に、雪女が立ちはだかる。
雪女の正体とは…?」
最初に言っておきますと、ヒドい作品です。
雪女をテーマにした怪談かと思いきや、後半、突如、SFとなります。
(以降、ネタばれとなります。注意してください。)
SFになるのは別に構わないのですが、タイムマシンの使い方がもの凄く安直です。
理由を説明しますと、未来の人間がタイムマシンで過去に飛んで、「過去現代の私の家系に災いをなる者」を皆殺しにするというものだから。(軽く云十人、殺してます。)
そうしないと、家系が続かないとのことですが、何か本末転倒のような気がして、釈然としない感だけが募っていきます。
まあ、タイムマシンは「ドラえもん」をはじめ、テキト~に使われてはいるものの、ちょっとこれはヒド過ぎるのではないでしょうか。
ちなみに、この作品、宮本ひかる先生がアシスタントで参加しております。
作中に挿入される「太陽プロ近況」の方が、作品よりも面白かったです…。
・備考
カバーにテープによる補強や留めあり。糸綴じあり。前後、上隅に喫茶店のスタンプ押印。後ろの見返しにハンコ押印。
2021年3月15日 ページ作成・執筆