池川伸治「新子だけの奇」(220円/1967年8月6日完成)

「秋。
 七年前に養女として引き取られた少女、新子は、優しい両親やボーイフエンドに恵まれ、幸せな日々を送っていた。
 ある日、新子は保男という少年と出会う。
 出会ったとたんに、新子は保男に親しみを感じ、常時共に過ごすようになる。
 だが、保男はどこから来たのか等、自分のことは一切明かさず、ただ新子を必要としていると言うだけであった。
 奇妙なことに、保男が見えているのは、新子のみ。
 更に、保男は、新子の両親が十三年前に亡くした男児の名と一緒であった。
 新子の父親は、新子が保男について話すのを好まず、たびたび激情に駆られる。
 日を追う事に、保男と新子の仲は急速に深まっていき、新子は保男と共にいるだけで心は幸せに満たされる。
 それに嫉妬して、新子のボーイフレンドだった五郎は、保男の正体を突き止めようと考える。
 ある夜、五郎が新子の部屋を覗き見すると、普段は見えないはずの保男の姿を目にする。
 その容貌は、十三年前に亡くなった、新子の母親の息子、保男を成長させたものであった。
 翌晩、父親も保男を見て、保男だと確信する。
 その夜、星空の下、保男は新子に三日後に別れないといけないと告げる。
 保男の正体とは…?
 そして、父親が過去に犯した犯罪とは…?」

 ネタばれですが、「恋人は幽霊」という内容で、「ゴースト ニューヨークの灯」を先取りしてないこともないです。(映画を観てないので、テキト〜言ってます。)
 んで、ラストはやっぱり、池川伸治先生の「フリークス」趣味が炸裂しております。
 池川伸治先生の作品にしては破綻が少ないので、現在でも通用する内容ではないでしょうか。(でも、ヒロインが地に足がついていない感じは相変わらず…。)
 あと、本編の途中に、太陽プロ十三歳の新鋭、えのせ・かずお先生による「涙と愛の詩」という4ページのショート・ショートが載ってます。
 「交通事故に遭ったと嘘を教えて、恋人を試そうとしたら、動顛した恋人が交通事故で死んじゃった…」という内容です。

・備考
 カバー貼り付け。一部、ビニールカバーの剥がし痕あり。カバーに他の本のカバーの貼り付き痕あり。本体下部にひどいシミあり。p51、p122、鉛筆による落書きを消した痕あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2017年5月18日 ページ作成・執筆

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