さがみゆき「蛇塚の死霊娘」(220円)
「舞台はある田舎の村。
庄屋(いつの時代…?)の息子のもとへ白馬で運ばれていく花嫁衣装の加代。
その姿を見る人々は加代の美しさを褒め称えるが、加代の心中は複雑であった。
加代には新吉という愛し合う青年がいたのだが、継母の強い要請により、縁談を断ることができなかったのである。
そして、その加代の姿を遠くから見守る、新吉の姿があった。
加代と新吉は愛し合った仲であったが、所詮は貧乏な農家の息子、結ばれようがなかった。
新吉は加代の幸せを一人祈るが、その夜、恐ろしいことが起きる。
庄屋の息子に捨てられた娘が嫉妬のあまり、加代の花嫁衣裳の袂に蛇を忍ばせたのであった。
この地方では「婚礼の日に蛇をみると その家に不幸がおきる」という言い伝えがあり、加代の結婚は破談、継母からは勘当されてしまう。
散々に罵られ、姿を消した加代を新吉は必死になって捜すが、すでに千鳥ヶ淵という沼に身を投げた後だった。
傷心の新吉はその村を去って、東京に行く。
一週間後、加代の花嫁衣装に蛇を忍ばせた娘が千鳥ヶ淵にて変死体となって発見される。身体中には蛇が絡みついていた。
加代の祟りを恐れた村人達は千鳥ヶ淵に蛇塚を立て、加代の霊を弔う。
二十年後。
その村を胸に遺骨を下げた青年が訪れる。
この青年は敏雄といい、新吉の息子であった。
敏雄の訪問目的は、千鳥ヶ淵に遺骨を埋めてほしいという父親の遺言を叶えるためであった。
いとこの三郎の家に身を寄せるが、夜、美しい少女が窓の外に現れる。
敏雄が外に出ると、少女は親しげに笑いかけ、少女に導かれるようにして二人は千鳥ヶ淵の水際にいた。
少女は自分の名を加代と名乗り、敏雄のことを何度も新吉と呼ぶ。
敏雄は加代の正体を察し、その場から逃げ出す。
だが、新吉のことを信じる加代は、決してあきらめようとしない…」
ジャケットのイラストが素晴らしい。雰囲気満点で、部屋に飾っておきたいほどです。
ひばり書房の黒枠単行本、ヒバリ・ヒット・コミックスにて、若干の変更を加え、再録されております。
・備考
ビニールカバー剥がし痕、若干あり。前の遊び紙と、後ろのカバー袖にビニールカバー残り。pp39・40、コマにかかる破れとそこから下部に向かう折れあり。湿気のためか、本体に歪みあり。p7(カラーページ)に目立つ汚れあり(折角、花嫁衣裳のヒロインのいい絵なのになあ〜)。pp73・74、コマにかかる裂けあり。
2015年11月2日 ページ作成・執筆
2018年1月21日 加筆訂正