さがみゆき「青白いふたりの愛」(220円)



「水上たけしの前に、美しい少女が現れるようになる。
 彼女は彼をじっと見つめ続けるが、彼が話しかけようとすると、駆け去ってしまう。
 十一日目、たけしが彼女に理由を問い質すと、彼女は「あなたを愛しています」と繰り返し、涙を流しながら、立ち去る。
 それから、彼女は彼の前に姿を現わさなくなるが、数日後、彼のもとに一通の手紙が届く。
 手紙は、岡山県にある鬼首村からのもので、差出人は小野木妙子、例の女性であった。
 彼は彼女に会いに鬼首村に向かう。
 そこで、村の宿屋の娘、京子と知り合うが、京子を含め、村人達は皆、小野木家の屋敷については語ろうとしない。
 たけしは自力で小野木家の屋敷を探し出すものの、そこは無人の廃屋だった。
 彼の後をつけた京子は強引にたけしを家から連れ出し、小野木妙子について語る。
 彼女は地主の娘であったが、十七歳の時、東京に憧れ、家出する。
 だが、悪い男にだまされ、田舎に帰って来たものの、男のことが忘れられず、自殺した。
 以来、東京に住む若い男が屋敷跡を訪れては、次々と首吊り自殺を遂げているのであった。
 京子はたけしを必死になって救おうとするが、妙子はあらゆる手を用いて彼を死の世界へと誘う…」

 まあまあ面白いと思います。
 娘の幽霊の設定(悪い男にだまされて自殺し、怨霊となってからは東京の男を憑り殺していく)に、いつもの「さがイズム」が窺えます。
 巻末の読者コーナーには「作品によって感情的になってしまって、本ができてから、ああーっていつも反省してしまいます」とのコメントがありますので、さがみゆき先生の作品は個人的な体験が少なからず反映しているように思います。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。後ろの見開きに貸本店の紙とスタンプあり。

2018年12月20日 ページ作成・執筆

貸本・ひばり書房・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る