杉戸光史「首のない妖精」(220円)

「恵子はヒゲの老人の膨大なコレクションの中からトカゲの剥製を借りる。
これはある部落のご神体で、これを持っていたら恐ろしいことが体験できるという。
それを持って帰宅途中、彼女はサングラスをかけた男にそれをひったくられる。
不死子という片目の少女がそれを取り戻してくれるが、少女はトカゲの剥製には大変な秘密が隠されていると告げ、姿を消す。
帰宅後、恵子の姉、洋子はトカゲの剥製を一目見るなり、とり憑かれたようになる。
洋子はこれを神様と呼び、欠けた右腕を治してくれると信じ込んで、手放そうとしない。
更に、午前二時に庭で火を焚き、とかげの剥製に祈りを捧げて、その姿はどう見ても狂人であった。
そこに先程のサングラスの男が現れ、洋子を殴り倒し、トカゲの剥製を奪う。
だが、トカゲの剥製が男の右腕を喰いちぎり、男はその場から逃走。
男の右腕は喰いちぎられた後もピクピクと動いており、恵子はそれを見て気絶する。
目覚めた後、彼女は父親に昨夜のことを明かし、洋子からも詳しい話を聞くことになるが、洋子は失踪する。
どうやらトカゲの剥製は昨夜、すり替えられて、本物は秩父の五色の滝の裏にある「トカゲ部落」に運ばれており、洋子はその部落に向かったらしい。
恵子と父親は洋子の後を追って秩父に行き、トカゲ部落の入り口に到着する。
そこには片目の少女、不死子が彼らを待ち構えていた。
彼女はトカゲ教の信者以外は部落に入れないと警告するのだが…。
トカゲ教とは一体…?」
「首のない妖精」というタイトルで「トカゲ教」とくれば、大体、内容の想像がつくと思います。
んで、まあ、そんな内容です。
でも、杉戸光史先生の作品ですので、弾け飛んだアイデアがない代わりに大きな破綻もなく、そこそこ安心して読めます。
ラストは少し捻って、「〇オチ」(よくあるアレ)です。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け。糸綴じの穴あり。後ろの遊び紙に貸本店のスタンプあり。
2025年5月7日 執筆・ページ作成