さがみゆき「伝説の里」(200円)
「美千代は、肺病のため、田舎の村で療養することとなる。
妹の節子と、美千代の婚約者の国男が彼女に付いていたが、ここに移ってから、美千代の様子がどうもおかしい。
毎夜、夢遊病者のようにさ迷い歩き、節子を襲うこともあった。
夢の中で、美千代は、森の中の洞窟に向かう。
洞窟の奥には、江戸時代の人、国定(注1)の恋人、おゆきの墓があった。
美千代の喀血した血が、おゆきの石像にかかると、おゆきの呪いが復活する。
おゆきは、美千代と同じく肺病で、恋人のために命を長らえたいと切望し、吸血鬼となった娘であった。
おゆきの霊の憑りついた美千代は、次々と村の娘を襲い、血を飲む。
美千代は元気を取り戻すが、姉の言動から、妹の節子は不審を抱かずにはいられない。
ある雷雨の夜、国男は、姉妹の母親を迎えに車で出かける。
節子が姉の様子を確かめに寝室へ行くと、美千代が彼女に襲いかかってくる…」
舞台は日本の僻村ですが、「吸血鬼もの」です。
若干わかりにくい部分はあるものの、ワンパターンに陥りがちの「吸血鬼もの」に独特のアレンジを施そうと努力しているところは好感が持てます。(それが成功しているかどうかは別として…。)
また、全体的に粗削りな出来でありながら、雰囲気作りはかなり上手です。
楳図かずお先生や池川伸治先生の影響はもちろんあったでしょうが、怪奇マンガ二作目にして、さがみゆき作品の最大の特徴である「愛執」を取り入れており、後の作品につながる作品のように思います。
・注1
国定というから、国定忠治かと思いきや、何の関係もありませんでした。
・備考
ビニールカバー貼り付け。小口に緑のマジックにて書き込み。糸綴じ穴あり。前後の見返しのノド、紙テープにて補強。シミ、汚れ、多し。後ろの遊び紙、欠損。
2018年2月14日 ページ作成・執筆