さがみゆき「魔女が踊るとき」(220円/1965年頃)



「M高原、深い霧の中で、ガソリン切れを起こした車。
 その車には、ミュージカル作家の健次、女優である政子とさとみの三人の男女が乗っており、三人は人家を探す。
 すると、霧の中から、一人の女性が現れる。
 その女性は立花亜紀子に瓜二つであった。
 立花亜紀子は女優で、健次の恋人であったが、舞台の事故で片足を切断、悲嘆のあまり、ちょうど一年前にこの高原あたりで自殺していた。
 訝る三人に、女性は立花亜紀子ではないと否定し、実際に五体満足でもあった。
 日も遅いので、三人は彼女の別荘に泊まることになる。
 政子は女性が立花亜紀子にそっくりなことを気味悪く思い、泊まることを嫌がる。
 実は、政子とさこみは、主役の座を得るために共謀して、立花亜紀子が怪我をするようにスポットライトを落とした犯人なのであった。
 さとみが政子をなだめすかしている一方で、健次はその女性と話をしていた。
 女性は記憶がなく、自分の名前すらもわからないと言う。ただ、わかっているのは、健次がここに来ることだけと。
 何から何まで亜紀子にそっくりな女性を目の前にして健次は不思議に思うが、女性には両足があるため、絶対に亜紀子ではないと確信する。
 翌日、健次はガソリンを買いに国道まで出かけるが、夜になっても帰ってこない。
 仕方なく、政子とさとみはもう一晩屋敷に泊まることになるのだが…」

 謎が謎を呼ぶミステリー・ホラーでありまして、なかなか面白いです。
 燃え盛る屋敷での描写は、荒っぽい描線ではあるものの、まあまあ迫力があります。
 時代を考慮に入れれば、佳作と言ってもいいのではないでしょうか。
 後半、突如、スリラー作家の「池田伸」というキャラクターが出てきますが、モデルはやはり池川伸治先生でしょうね。
(ハンサムかつ長身に描かれております。やっぱり「美化」していたとか…。)
 また、タイトルページ(上の右端の画像)が、故・荒木伸吾氏の『魔女っ子メグちゃん』を彷彿させるのが、個人的にものすごくポイント高いですね。
 あと、この作品はヒバリ・ヒット・コミックスの「あざ笑う恐怖A」にて復刻されております。

・備考
 ビニールカバー貼り付け、そのビニールカバーに塗料(?)のような張り付きあり。糸綴じあり。前後の遊び紙に、味のある落書きあり。読み癖あり。pp53・54、コマにかかる大きな裂けあり。pp25・26、57〜60、ページに折れあり。pp68・69、食べかすらしきもの挟まっている。

2015年11月18日 ページ作成・執筆

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