杉戸光史「魔女とシロヒトリ」(220円/1966年頃)
「星永小百合と彼女の友人、山田弓子は、急な雷雨に襲われ、幽霊屋敷と噂される洋館に駆け込む。
不思議なことに、廃屋のはずなのに、館の内部は人が住んでいるように整えられている。
実は、その館には、アメリカ合衆国から密入国していたホワイト一家が隠れ住んでいた。
彼らは、火取蛾の化身であり、日本で自分達の幼虫、シロヒトリの繁殖を目論む。
ところが、小百合達が館を訪れた際、姉のジェーンが小百合に踏み殺され、妹のマリー・ホワイトは復讐を決意する。
数日後、小百合は洋館に本を忘れたことに気付き、弓子と共に洋館を再訪する。
眠り薬の香で眠らされた小百合が目を覚ました時、彼女は地下室に閉じ込められていた。
そこで、小百合が味わう恐怖とは…?」
後書きから推測すると、外来害虫であるシロヒトリ(火取蛾の幼虫)への憤りから描かれたようです。(シロヒトリを見かけたら、一匹でも余計に撲滅するよう読者にお願いしてます。)
んで、描かれた作品は「蛾人間」が日本でシロヒトリを繁殖させようとするもの。
ただし、「蛾人間」と言っても、造形は大したことはなく、毒は持っていないし、DDTには弱いわで、すぐにやられます。
相変わらずの「可もなく不可もない」内容ではありますが、この作品、素晴らしい見せ場があります。
それは、ヒロインがシロヒトリの大群に襲われる描写。
pp82・83は一匹一匹ちゃんと描き込んでいて、おぞましさ三倍満アップ!!
いにしえのトラウマ映画「黒い絨毯」の影響があるように思いますが、私の勘違いかも。
とりあえずは、虫のダメな人にはトラウマ確定な程の破壊力があり、杉戸光史先生の「本気(マジ)」が伝わってきます。
・備考
ビニールカバー剥がし痕ひどし、カバーにかなりの痛み。糸綴じの穴あり。本編にひどいシミ、幾つかあり。pp91・92、上隅にわずかにコマにかかる欠損。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕とスタンプ押印あり。
2018年3月2日 ページ作成・執筆